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野球

なぜ日本人ピッチャーは「WBC公式球」が苦手なのか?

メジャーリーガーは慣れているけれど…

メンバーを先行発表したワケ

来年3月に開催される「2017 WORLD BASEBALL CLASSIC」(WBC)のメンバーが18名発表されました。登録メンバー28名のうち18名を先に発表することは珍しいことです。前倒しで発表を決めた小久保裕紀監督には、選手たちに“一日でも早くボールに慣れて欲しい”という狙いがあるのでしょう。
 
WBCの時期になると、必ずと言っていいほど、「WBC公式球への対応力」が問題視されます。WBCで使用するボールは、プロ野球公式球よりも表面がツルツルしていて滑りやすい。僕も­実際に握ってみて、滑りやすい印象を受けました。­­

スピンを強く求めるピッチャーにとっては、WBC公式球は厄介だと思います。ただ、手のひらが大きい選手はきちんとボールを握ることができるので、そこまで気にならない­かもしれません。­
 
僕はどちらかと言うと、ピッチャーよりも野手に及ぼす影響の方が心配­­です。打球方向がいきなり変化してしまうこともありますし、捕球してから送球する時に滑りやすいので手こずるでしょう。バッティングにおいても、WBC公式球はきちんと芯で捉えなければ飛びません。そこが一番のネックになるでしょう。
 
一方、メジャーの強打者たちは、普段からWBC公式球と同じローリングス社製のボールを使用しているので慣れています。多少の変化球では思い切り踏み込んできます。

日本人ピッチャーたちは“打たれたくない”と、コントロールを意識し過ぎるため、逆に中途半端な甘いコースに投げてしまうことがありますが、そうすると簡単にスタンドに運ばれます。
 
ミスショットは命取りになるので、WBCではコントロールがいい菅野智之(巨人)に期待がかかります。彼は制球力だけでなく、球種が豊富なので、外国人バッターを前にしても安定したピッチングを見せてくれると思います。今大会のエースは、菅野と言っていいでしょう。

メジャー組は参加できるか

18名のうち、WBCを経験したことがある選手は、中田翔(北海道日本ハム)、牧田和久(埼玉西武)、松田宣浩(福岡ソフトバンク)、内川聖一(ソフトバンク)、坂本勇人(巨人)の5名です。チームリーダーはまだ決まっておりませんが、経験者の坂本や松田がチームの中心となり、まとめていくことがベストです。
 
­注目されていた日本人メジャーリーガーの動向ですが、­メンバー発表された翌日に青木宣親(アストロズ)­の代表入りが決まりました。一方で第1回WBCに出場した上原浩治(カブス)は前向きなコメントを残していましたが、カブスの意向もあって辞退を発表しました。

 

メジャー組がWBCに参加するためには、所属球団の了承も必要なので、そう簡単ではありません。

前田健太(ドジャース)や田中将大(ヤンキース)はチーム事情的に厳しいかもしれませんが、今大会はアメリカ代表にメジャー組が何人か入るようなので、例年に比べて球団サイドも協力的です。青木に続いて良い報告が聞けることを待ちましょう。
 
­個人的には、田澤純一(マーリンズ)を代表に入れて欲しいです。プロ野球を経験せずにメジャーで活躍している田澤をNPBはどう捉えるのか。もし、田澤が代表入りを果たせば、プロ野球を活気づかせることにも繋がります。今後の日本野球界発展のためにも、田澤の代表入りに注目したいです。

image佐野 慈紀(さの・しげき)
1968年4月30日、愛媛県出身。松山商−近大呉工学部を経て90年、ドラフト3位で近鉄に入団。その後、中日−エルマイラ・パイオニアーズ(米独立)−ロサンジェルス・ドジャース−メキシコシティ(メキシカンリーグ)−エルマイラ・パイオニアーズ−オリックス・ブルーウェーブと、現役13年間で6球団を渡り歩いた。主にセットアッパーとして活躍、通算353試合に登板、41勝31敗21S、防御率3.80。現在は野球解説者。