宇宙科学

この宇宙はどのように始まったのか〜謎解き最前線を村山斉教授が語る

始まりは原子より小さかった!?
村山 斉

宇宙の未来には何が待ち受けているのか

「ダークエネルギーの働きによって、宇宙には二つの結末が予測されています」

一つは「ビッグフリーズ」、もう一方は「ビッグリップ」と呼ばれる結末だ。

どちらの運命が私たちの宇宙に待ち構えているのかは、ダークエネルギーを解明しなければ分からない。しかし、その謎は調べれば調べるほど深まるばかりだという。

そこでダークエネルギーを解き明かす鍵となるのが「マルチバース」とよばれる概念である。

さまざまな形状や大きさのシャボン玉が飛び交う光景は「マルチバース」の世界観に近い

「シャボン玉ひとつひとつを宇宙と捉えてください。シャボン玉が膨らんでいくうちに分裂して、新しいシャボン玉が生まれるように、宇宙も複数存在しているという考えが『マルチバース』です。一説には、1のあとに0が500個並んだ数の宇宙が存在しているといわれています」

そして、各宇宙が内包するダークエネルギーの総量もそれぞれ異なるという。

「ほとんどの宇宙では、ダークエネルギーがとてつもなく大きいため、生まれてすぐに急膨張して、バラバラになってしまいます。しかし、我々の宇宙はたまたまダークエネルギーが小さく、138億年間も生き残ることができた。これが現在議論されているダークエネルギーの最前線です」

それぞれの宇宙は時空が離れているために、互いを認識することはできない。もし、別な次元から見ることができれば、そこには幻想的な「シャボン玉の宇宙」が広がっているのかもしれない。

宇宙の二つの結末ビッグフリーズとビッグリップ(下) ビッグフリーズでは、銀河を構成する星々が燃え尽き、ただの冷たい空間だけが残る。一方、ビッグリップでは、星や原子が全て粉々になり、素粒子という小さな粒だけが宇宙を漂うことになり、終わりを迎える
『村山斉の宇宙をめぐる大冒険』2017年1月6日(金)22:00よりNHK総合で全国放送。2月にはNHKBSプレミアム『コズミックフロント☆NEXT』(http://www.nhk.or.jp/cosmic/)にて完全版(全2回)を放送予定