国際・外交
世界を覆う「非寛容の雲」を吹き飛ばす、未来のリーダー達がここにいた

「多様性を認める世界の方が、よりよい世界であることは間違いありません。互いの文化に寛容である社会を望むべきなのです。残念なことに、今日の世界情勢を鑑みると、その寛容が失われているようにも感じます。

そのような中で、世界の多様性を維持して、発展させられるかどうかは、皆様のように若い方々の取り組みにかかっていると思います。こうした場を継続的に持つことはとても素晴らしい機会だと思いますし、長く続いていくことを願っております」

高円宮妃殿下がそう締め括ると、会場は万雷の拍手に包まれた。12月6日、東京・有楽町の外国人記者クラブで開かれた「Annual Youth Forum~Living together in the Univbersal Age」。2005年から開催されているこのフォーラムは、「未来のリーダー」として期待される学生が世界各国から集まり、いま、世界が抱えている課題について話し合い、認識を深める場として活用されている。

各国の学生たちがこのイベントを介して互いを知り、卒業後もその多くが交流を続けているという。まさに、「日本の若者が、世界とつながる場」として機能しているのだ。

12回目となる今回のフォーラムのテーマは、「世界の多様性をどう保つか」。テロ、ヘイトクライム、難民、排外運動などが目立つようになった今日の社会において、他の文化や人種、生き方への「寛容さ」をいかにして維持して築き上げるか、あるいは取り戻していくかを、日・米・英・中・独各国を代表する学生5人がセッション形式で語りあう(それぞれ代表者の名前は、Yutaro Nakayama、Nicole Thomasian、Monib Baber、Dan Xiao、Philipp Maas。司会はKanako Date、Mai Ueda )。

各国を代表する5人の学生たち

イギリスは「EU離脱」、ドイツは「難民排斥」、そしてアメリカはトランプ大統領の当選、と、今年は特に「非寛容主義」ともいうべき出来事が世界中で起こった象徴的な年。各学生もその深刻さに気付いているため、表情も発言も、大変シリアスだ。

学生5人が5分間ずつ、それぞれの国が抱えている「寛容を妨げている問題」についてのプレゼンテーションを行った後、会場に詰め掛けた100人近い学生と一体となって、ディスカッションを行う。「日本はなぜ二重国籍に寛容ではないのか」「ドイツではイギリスのEU離脱をどうとらえているのか」「中国では、ドイツの難民問題についてどんな意見が出ているのか」……白熱した議論が、およそ90分にわたって繰り広げられた。

そんな学生たちの様子を頼もしそうに見守っているのが、高円宮妃殿下や元宇宙飛行士の山崎直子さんら豪華ゲスト陣だ。

学生たちのプレゼンに先立ち、「宇宙空間は私たち人類のホームタウン。人類がみな宇宙からの子孫であると考えれば、もっとお互いに寛容に接することができるのではないでしょうか」とスピーチした山崎直子さん。

学生に向けてメッセージを送る山崎直子さん

その言葉を聞き、学生たちは「Universal」という言葉が「普遍的な」と「宇宙の」という二つの意味をもつことに、改めて気づいたのではないだろうか。

ディスカッション後の懇親会も含めて4時間足らずのフォーラムではあったが、彼ら彼女らには、これから無限に近い時間が残されている。世界を覆う「非寛容の雲」を晴らすために、彼らがどんなアクションを採るのか。希望は彼らの世代に託されている。