南伸坊画伯が一肌脱いでくれた奥道後ゴルフツアーのはなし
島地勝彦×田中知二【第3回】

撮影:立木義浩

第2回【 糸井重里さんと1年で200日会って…

シマジ トモジやおれみたいに面白い人間は、多分、実の母親の作品ではないかと思うんだが、トモジ、どうだろう。

トモジ そうかもしれませんね。うちのオフクロは「お前はテレビに出ている人より面白いから、将来、テレビに出る人間になるんじゃないの」とずっといっていました。

シマジ おれも子供のときなにかいうとオクフロは転がって笑ってくれていたね。反対にオヤジは、オクフロに「そんなにカツヒコを甘やかすんじゃない」とヤキモチを焼いていたなあ。やっぱり母親の子供に対する教育っていうのは偉大じゃないかな。

トモジ おれのオクフロも、おれがふざければふざけるほど喜んでいました。

シマジ ヒノの母親はどうだったの。

ヒノ うちのオクフロはとにかく気性が激しくて、甘いときは甘いんですが、なにか悪いことをすると容赦なくバチバチ殴られました。

シマジ 女傑だったんだ。オヤジさんは?

ヒノ オヤジはほとんど家にいなかったから、あんまり関係ないですね。ですからぼくは子供のときオクフロがめちゃめちゃ怖かったです。

シマジ ヒノはお父さんの仕事の関係でいろんなところに転校したそうじゃないか。

トモジ 転校生ってだいたい頭がいいんじゃない。だいたい大企業の子供だから成績も凄くよくってさ。

ヒノ まあ、でもぼくのいたところは、名古屋のなかでも新しく開けた場所だったので、他所から来たひとも多くて、みんなそんな感じでしたね。

トモジ 子供って凄いよね。親が感情にまかせて怒っているのか、自分のためを思って起こっているのか、わかっちゃうものだよね。ところが、子供がわかっているということを親は自分が子供のときはわかっていたのに、大人になるとわからなくなるんですよ。

シマジ 大人になると子供のころの気持ちを忘れてしまうんだよな。

ヒノ ぼくの場合は、オフクロに怒られているときはまったく反省せずに早く時間が過ぎ去ってくれと願っていました。

シマジ 可哀相に女のヒステリーの被害者だったんだ。子供を怒るより褒めるほうが断然いいと思うね。

トモジ そしておれのように学校の先生に怒られたときは痛がって被害者ヅラをする。

シマジ それはかなりの高等技術だよ。

ヒノ トモジさんは集英社でも高等な被害者プレイを駆使していたんですか。

トモジ いや、それは弱かった子供のときだけでしたね。

シマジ トモジで面白かったのは、若菜社長に怒られた話だよね。若菜さんは朝、会社のビルを全部回ってくるんだが、ある日、トモジが編集部のソファに大の字になって寝ていたところに、運悪く若菜社長がやってきた。社長もフリーの編集者を怒ってはまずいから、事務の女性に「あいつは社員なのか、フリーなのか」と訊いたらしいよ。それで社員だとわかると、寝ているトモジに向かって大きな声で怒鳴った。

「きみっ、こんなところで寝てないで仮眠室に行きなさい!」

トモジ こっちはいい気持ちで寝ているのに、凄く怒っている人がいるなあと思って見たら若菜さんだった。「こんなところで寝ていたらみっともないじゃないか!」と。

「先ほどまで入稿で徹夜だったんです」というと、さらに大きな声で「それなら仮眠室に行きなさい!」とくる。そこでおれは「いや、いま、アメリカからかかってくる電話を待っているんです」といいました。

シマジ 巧い言い訳をしたね。

トモジ いやいや、それは本当の話だったんですが、若菜さんはカンカンに怒って「シマジ君はいるか!」という。でもまだシマジさんがくるような時間じゃない。しかたなく副編2人を怒鳴りつけて、そのまま去っていきました。