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企業・経営
東急がつくる複合施設に人がドンドン集まる「納得の理由」
敏腕社長に独特の経営術を聞いた
東京急行電鉄の野本弘文社長

日本で最も乗降客数が多い私鉄・東急電鉄を取材した。田園調布、二子玉川など沿線にはイメージがよい街が多く、ホテル、不動産業なども含めたグループ全体の売り上げは1兆円を超える。

野本弘文社長(69歳)は、厚木の宅地開発を皮切りに、赤字だったケーブルテレビ事業を3年で黒字化するなど、現場叩き上げの人物だ。

成功は少し遅れてやって来る

【理念】

東急グループは、一時期、500社近くの会社を持ち「東急コンツェルン」と呼ばれていました。現在も百貨店、スポーツクラブ、学童保育など幅広い事業を展開しています。これは「鉄道事業単体で収益をあげよう」と考えず「沿線の方たちの活躍の舞台をつくろう」と考えた結果です。

本当に価値があるのは、沿線の方がジムや育児施設を使い、百貨店でおしゃれし、魅力的な毎日を送ることにあります。すると、街も魅力的になり、結果として沿線に多くの人が集まります。

もちろん、こうなるまでには時間がかかりますが――本当によい事業を始めた場合、たいてい、成功は少し時間をかけ、やってくるものです。

【1世紀】

当社は'22年に100周年を迎えます。創業者・五島慶太は、まだ「ビジネスモデル」という言葉もなかった時代に、先にお話しした複合的な沿線開発という、今も古びないビジネスモデルを構築しました。また、田園調布の開発や様々な大学の誘致を行ったように、現代風に言えば、沿線を「ブランディング」する意識もあったはず。

彼はこれらの考え方を学問として学んだのではなく、実践を通して身につけました。だからこそ、その施策は本質を捉え、100年を経てもなお新しいのだと思います。

 

【俯瞰】

今も忘れられないのは、入社後すぐ、厚木市役所の方にいただいた教えです。「仕事やってく上で何が大切かわかるか?」と聞かれました。私が「情熱ですか?」と答えると、その方は「何が正しいか、何があるべき姿か、徹底的に考えることだ」と仰いました。至言と思っています。

たとえば'04年にケーブルテレビの会社の社長になった時のこと。私は「ケーブルテレビを大容量データの配信インフラと考えれば、もっとできることがあるはず」と考え、高速インターネット接続や電話事業を開始し、その後の黒字化に結びつけました。今も当社事業を俯瞰するときに「何があるべき姿か」を考え続けています。

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