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ブロックチェーンは「私たちの未来」をどう変えるか?

新技術の可能性について結論を急ぐな

ブロックチェーンの可能性

以前にも一度紹介したブロックチェーンだが(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/49437)、ようやくビジネス全般の可能性について論じた本が翻訳された。それも立て続けに二冊だ。

一つは、ドン&アレックスのタプスコット父子による『ブロックチェーン・レボリューション』。もう一冊は、ウィリアム・ムーゲイヤーの『ビジネスブロックチェーン』。二冊とも原書は春先に出版されており、おおむね半年遅れくらいで翻訳が出たかたちだ。

欧米諸国で先行して起こったブロックチェーン・ブームの際には、この二冊に記されたような、ビットコインやFin-Techを越える可能性についても多々論じられていたのだが、そうした論じ方についてもようやく実感を得ながら広く知ることができるようになった。

タプスコット父であるドン・タプスコットは、ケヴィン・ケリーやジェレミー・リフキンらと同じように、これまでも『デジタル・エコノミー』や『ウィキノミクス』などIT領域の将来ビジョンを描いた著書をいくつも世に送り出してきた。

ドン・タプスコット〔PHOTO〕gettyimages

1947年生まれのドンは、ベビーブーマーのビジョナリらしく、産業革命以後の集権化され階層化された社会編成ではなく、分散的で分権的な社会編成に可能性を見出してきた。『ウィキノミクス』、さらには『マクロウィキノミクス』では「協働」をベースにした経済活動のあり方を、事例を交えながら、雄弁に語っていた。

今回、息子のアレックスと共に著した『ブロックチェーン・レボリューション』でも、そのようなドンらしい「煽り」要素は引き継がれている。いつもの彼らしく、読者を新たな世界――今回は「ブロックチェーンの世界」――へと引き入れよう(巻き込もう)とする熱を感じさせる語り口だ。

対して『ビジネスブロックチェーン』の方は、タイトル通り、もう少しビジネスモデル寄りだ。

ITの分野で「ビジネスモデル寄り」ということは、少なからず技術的な記述も含まれることになる。新たな技術の中にすでに新たなビジネスモデルが胚胎していると考えられており、それを発現させることが新たなビジネスモデルを考案することと考えられているからだ。

その分、文体もタプスコット父子のものに比べれば淡々としたものになっている(もっとも、そのあたりの文体の違いは、多分に翻訳のトーンの違いから生じているようにも思えるが)。

そのような意味でも、両者を並行しながら読み流すという扱い方が、ブロックチェーンのイメージを広げるには有意義であることだろう。

さらにもう一冊付け加えるならば、雑誌『WIRED』のブロックチェーン特集(Vol.25)もオススメだ。こちらにはドン・タプスコットがインタビューに答える形で『ブロックチェーン・レボリューション』のエッセンスを伝えている。そちらを先に読む方が手っ取り早くイメージをつかむのに役立つかもしれない。