企業・経営
「ライザップ」決算資料から浮かび上がる、ある懸念
経営目標にもコミットできるか?

営業利益約64億円の内訳をみると…

芸能人をCMに積極的に起用し、「結果にコミット」というキャッチコピーで一躍有名になったライザップ。2003年に「健康コーポレーション」として創業した同社は、2012年から高単価・短期集中型のトレーニング事業である「ライザップ」事業をスタート。

これが大ヒットしたことで、社名もRIZAPグループに改めた。業績はうなぎ上りで、8月には半期の業績予想を上方修正し、先日の第2四半期の決算でも利益が前年同期比で6倍近くになった。今年、最も注目を集めた企業といってもいいだろう。

しかし、同社の決算書を読み解くと、今後のビジネス展開についての懸念点が浮上してくる。話題を振りまく同社のこれからを、財務の視点から読み解いてみよう。

まず肝心の利益について、決算書内の「損益計算書」を見ると、「その他の収益」という項目で約47億円が計上されており、これが約64億円ある営業利益の多くを占めている。

また、営業利益から「その他の収益」を引いた値では、第2四半期が17.0億円、と第1四半期の17.9億円より小さくなっていることがわかる。つまり、第2四半期だけで見ると事実上の営業減益となっているのだ。

 

この「その他の収益」の正体は、子会社の買収によって計上された「負ののれん」(企業を買収するときに、その企業の時価純資産額を下回る金額で割安に買収した場合、その差額が「収益」として計上されるもの)だ。

ライザップは近年、雑貨業などを手がける「イデアインターナショナル」やファッション通販の「夢展望」などの上場企業も含めて、多数の会社を買収しているが、これらの大半はもともと赤字会社である。

特にここ半年は書籍販売の「日本文芸社」・服飾雑貨の「三鈴」・下着販売の「マルコ」といった赤字企業を、通常の資産価値よりも安く買っているため、その差額が「負ののれん」として計上され、利益になっているという仕組みだ。

こうして買収した赤字の子会社に対しては、積極的なリストラを行って業績回復に努めているようだ。退職給付引当金が18億円近くに膨らんでいることからもそれがうかがえるが、リストラで経費削減を行っても、パスポートや夢展望では赤字が拡大するなど、まだうまくいっていない様子だ。通期では黒字化していたイデアも、最新の第1四半期決算では昨年比で赤字が拡大している。

RIZAPグループの管理部は「M&Aにより当社グループ入りした会社については、グループ入り後、事業再建に徹底的に注力し、1~2年ほどで黒字化を実現している」と回答するが、実際は2013年度に買収したSDエンターテイメントが未だ赤字のままだ。

「アナリスト向け決算説明会資料(2016年12月8日)」より

本来、企業買収を行う際には本業とのシナジー(相乗効果)が求められるはずだが、ライザップは業界を問わずとにかく安く買える赤字企業を中心に買収しており、「負ののれん」による利益を大きく見せることが目的ではないかという印象を受けてしまう。