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タカタ欠陥エアバッグ問題、なぜ「ホンダの責任」は問われないのか

「売り手責任」不問という不可解

製造元の責任か、販売者の責任か

ある企業が問題を起こした場合、元請けと下請けのどちらに責任があるのか、あるいは共に責任を負うべきなのか――。

最近あらゆる業界で増えている品質問題の根本的な原因究明のためにも、あるいは消費者保護の観点からも、そうしたことを真剣にかつ冷静に考える時代が来ているのに、メディアの矛先は立場の弱い下請けに向くケースが多く、その結果、社会的な批判は一方的に下請側に集まっている。

こうした事態に陥るのは、日本社会では、製造責任を重視し過ぎるあまり、「売り手責任」について重く考えない傾向があるからだ。それでは、抜本的な対応にはならない。

特に人の命に係わる製品で品質問題が発生した場合、消費者に対しての責任は一義的には売った側にあると筆者は考える。そして、再発防止策や未然防止策を考えていくうえで、製造側と販売側が一体となってトラブルの原因を真摯に究明していく姿勢が求められるのではないか。

売り手責任欠如の顕著な事例は、2015年に発覚した「傾斜マンション問題」だ。

最初に消費者にお詫びしたのは下請けの旭化成建材だった。同社が行った杭打ちデータの不正は言語道断だが、そうした欠陥マンションを売ったのは、三井不動産レジデンシャルであり、顧客の中にも「三井不動産ブランド」を信用して買った人も多いだろう。

しかし、三井不動産側は当初、記者会見さえ開こうせず、むしろ「被害者面」をしていた。

大手メディアの批判も旭化成建材に集中し、三井不動産側の売り手責任と下請け管理責任を問う声はほとんどなかった。

今年発覚したカレーチェン店「CoCo壱番屋」が、廃棄した冷凍ビーフカツを横流しした産廃業者の事件でも、それを売ったスーパーの責任は問われることはなかった。

しかし、グローバル企業のリスク管理に詳しいコンサルタントは「産廃業者の行ったことは決して許されることではなく、警察も産廃業者を逮捕している。しかし、欧米でこうした問題が起こると、まず消費者の矛先が向かうのは売ったスーパー側。欧米では売り手責任が強く問われ、調達時の管理責任の方が問題視されるからだ」と説明する。

国際的ニュースとなっている「タカタ問題」でも、本来は売り手責任が問われるべきところ、見過ごされている。本稿では、タカタ問題から垣間見える、売り手責任論について考えてみたい。

 

タカタは、エアバッグやシートベルト、チャイルドシートなど自動車用安全部品を主に造っているメーカーである。

多くの読者がご存知のように、タカタ製エアバッグで異常破裂が発生して米国で死亡事故が起こり、タカタが米社会でパッシングを受け、米国子会社は事実上経営破綻した。

対策費用が1兆円近くになることから、タカタ単独での対応は不可能と見られ、タカタ本体の経営再建に向け、米ファンドなどがスポンサーに名乗りを挙げている。

タカタ製エアバッグの品質問題の原因は、衝突を感知してエアバッグを膨らませる「インフレーター」と呼ぶタカタ製の主要部品に欠陥があったからである。

エアバックを膨らませるガスを発生させるために使うのが火薬であり、タカタは業界で初めてエアバッグ用火薬の材料に硝酸アンモニウムを使ったが、硝酸アンモニウムは高温多湿下で使用すると、経年劣化を起こすことと、インフレーターの設計不備が重なって暴発が起こり、死亡事故につながった。

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