中国

前代未聞! 中国が始める外国人「ABCランクづけ」制度

日系企業は大パニック
近藤 大介 プロフィール

北京へ戻った熊弁護士に、改めて話を聞いた。

「帰国後も日系企業からの問い合わせが殺到しています。お客様にはまず、自分たちの点数を試算していただいています。

試算結果から、Bランクのボーダーライン上にいる日本人駐在員が、かなり多いことが分かりました。この方々に何とかBランクになっていただきたい。そして今後中国に駐在員を派遣する時は、確実にBランク以上の人材を選ばれることを勧めます」

中国における日系企業の唯一の親睦団体である中国日本商会の中山孝蔵事務局長補佐も語る。

「中国日本商会としては、各企業と同様、まだ情報収集の段階です。ただ今後の手続きなどを鑑みると、来年4月以降、日系企業がある程度、混乱することは避けられないでしょう」

日本企業の昨年の対中投資は32・1億㌦で、'14年の43・3億㌦から25・8%も減少した。今年の9月までの対中投資も22・7億㌦に過ぎず、年間30億㌦を切る可能性もある。これは'12年の4割の水準だ。各国・地域別に見ても日本は8位に甘んじていて、シンガポールの投資額の半分、韓国の6割に過ぎない。

このように、ただでさえ日本企業は中国市場から引き気味だというのに、来年4月以降、Cランクが連発したら、ますます嫌気が差して後退していくだろう。

こうした話を、北京で会った中国の外交関係者に警告したところ、逆に開き直って言った。

 

「1972年に中日が国交正常化して以降、長い間、両国関係は、中国が日本を必要とする時代が続いた。そのため両国関係の主導権は、常に日本側にあった。

ところがいまや、中日関係は、日本が中国を必要とする時代に変わったのだ。たしかに日本企業が持っている最先端技術は、いまも変わらず貴重だが、それらのほとんどは欧米企業とのビジネスで代替可能だ。

われわれがいま、日本からどうしても欲しいのは、高齢化社会に関する知見くらいのものだ。逆に日本企業にとって、14億人の中国市場は死活問題だろう。

それなのに、日本人はいまだに、1980年代のような発想で両国関係を考えている。来年4月からの外国人の3分類も、今後は中国が主導権を取って、来てほしい外国人にのみ来てもらうということだ。われわれはもはや、パンダではなく竜になったのだ」

日中関係は、まるで北京の空気のように淀んでいくのか。

「週刊現代」2016年12月24日号より