中国
前代未聞! 中国が始める外国人「ABCランクづけ」制度
日系企業は大パニック
近藤 大介 プロフィール

早慶卒でも0点

この突然の措置に度肝を抜かれ、パニックに陥っているのが、2万社を超える中国国内の日系企業である。冒頭の駐在員のように、来年の4月になったら、「Cランクの外国人」に分類されて、中国から追放される社員が続出しかねないからだ。

「これまでは、中国で買春をやったとか、犯罪行為を犯したとかいうことで追放になっていた。それは納得がいく。

ところがこれからは、自分の水準が足りないということで追放になるのだ。毎日、中国の厳しい法律や規律に従って生活しているというのに、まるで犯罪者扱いで、やはり承服できない」(同・駐在員)

私が北京と上海で、日本人駐在員たちから聞いた一番多かった意見が、この「納得がいかない」というものだった。

下の表が、中国政府が出した評価基準である。加算方式の120点満点で、85点以上ならAランク、60点から84点まではBランク、そして60点未満がCランクに分類される。

例えば、年齢評価を見てみよう。日本人駐在員は、他国の駐在員に較べて、中高年層が多いのが特徴だ。だが、50代後半の駐在員は、40代前半の駐在員の3分の1しか価値がない存在とみなされるのだ。

また、「フォーチュン500強」に入っている企業の駐在員ならば、「5点」が加算されるというが、7月20日に発表された「2016年版」で、日本企業は52社しか入っていなかった。トヨタ自動車(8位)、ホンダ(36位)、日本郵政(37位)、日産自動車(53位)、NTT(60位)などだ。

同様に、「大学ランキング100」に入っている大学の卒業者も「5点」が加算されるという。だが9月6日に英クアクアレリ・シモンズ(QS)が発表した今年のランキングで、日本の大学は、東大(34位)、京大(37位)、東工大(56位)、阪大(63位)、東北大(75位)の5校しかランクインしていない。

早稲田や慶応を卒業していても、「0点」なのである。

中国教育部が主催している「中国語水準試験」(HSK)も、大半の日本人駐在員にとっては、馴染みのないものだ。一般に中国の日系企業では、公用語は日本語で、国際交流基金が主催する「日本語能力試験1級」を取得した中国人たちが働いているからだ。

日本人はもういらないよ

こうした事態に、日本商工会議所は12月2日、北京から著名な中国人弁護士の熊琳・大地法律事務所日本部代表を東京に招いて、日本企業向け説明会を開いた。

東京駅前の新丸ビル大会議室で開かれた説明会には、200社余りの日本企業の人事・総務担当者らが顔を揃え、ものすごい熱気だった。青山学院大学で法学修士号を取得したという熊弁護士が、流暢な日本語で解説した。

「私が中国政府の担当者から聞いているのは、Aランクに選ばれるのは、ノーベル賞級の受賞歴がある外国人や、中国が国賓として招きたいような外国人だけです。つまり、大半の日本人駐在員は、BランクかCランクに選別されるのです。

また、日本の大企業の現地法人の董事長(会長)や総経理には、無条件でBランクを与えるそうです。

問題は、中国に進出している日本の中小企業の駐在員と、大企業でも一般の駐在員です。そうした人たちの駐在員ビザが、今後下りにくくなる懸念があります」

説明会は2時間半に及んだが、終了しても参加者たちが熊弁護士を取り囲み、延々と質問を浴びせていた。