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不正・事件・犯罪 裏社会
佐川印刷「90億円詐欺事件」ついに最重要人物が起訴へ
地検はどこまで狙っているのか?

帰国後逮捕→起訴の急展開

「私ひとりの罪じゃない。会長も知っていたことです」

フィリピン首都圏タンギット市の入管拘置施設に拘束されていた佐川印刷(本社・京都市)の湯浅敬二元取締役が、こんな電話を日本の友人にかけてきた話を、私が本サイトで報じたのは11月3日である。

参照)90億円の詐取容疑で逮捕間近!京都「大手企業・元役員」の訴え

その後、1年8ヵ月を海外逃亡に費やした湯浅元取締役は、11月15日、フィリピンから日本に強制送還されて逮捕され、以降、京都地検による捜査が急ピッチで進み、12月5日、湯浅元取締役は部下の宮口孝元社員とともに起訴され被告となった。

未上場ながら連結売上高1000億円を誇る印刷大手の佐川印刷で、湯浅被告が詐取したとされる総額は約90億円である。だが、京都地検は、70数回にわたって子会社のエスピータックから簿外で出金、不正送金していたなかから、2014年9月24日に行った4億円の不正送金のみを取り上げ、電子計算機使用詐欺で起訴した。

京都地検の見立ては、湯浅被告の単独犯ではない。不正流用の大部分は、社外協力者の村橋郁徳・エスジーコンストラクション元社長の指示で行われたと見ており、海外在住の村橋元社長に呼び出しをかけ、11月30日、帰国して聴取に応じたところを同じ容疑で逮捕、12月21日にも起訴する方針。

通常、詐欺事件は、固めやすいところから逮捕し、証拠を積み重ねて供述を取り、被害金額を増やしていくものだが、今回、湯浅被告が容疑を否認していることもあり、4億円のみで起訴。起訴状によれば、公訴事実は以下のようなものだ。

湯浅と宮口は、エスピータックの資金管理に携わっていたが、エスジーコンストラクションの借入金返済等のため、同社の業務を統括する村橋郁徳に財産上不法の利益を得させようと企て、共謀の上、パソコンを操作してインターネットを経由、エスピータック名義の口座から村橋が関与する口座に虚偽の情報を与え、4億円を振り込んだ――。

この「共謀」に、村橋容疑者も関わっていたとして起訴され、「詐欺の主犯が湯浅、共犯が村橋、容疑を認めている宮口がその手伝い」といった事件構図になりそうだ。そこからは、湯浅被告が主張し続けた「会長の指示」は、省かれている。

実は、フィリピンから日本に移送される直前、湯浅被告は京都地検の担当検事宛に、A4用紙1枚の書簡を送付している。そこでも木下宗昭会長の指示を強調していた。

〈 佐川印刷グループの資金はすべてまかすからと木下会長から言われてやってきました。私が資金を投資したのは、木下会長の裏ガネづくりのためです 〉

佐川印刷は、木下会長が一代で築いた会社である。当然、ワンマンで会社経営の隅々まで目を光らせていた。

また、佐川急便から出資を受け、社名に「佐川」を冠してから急成長しており、佐川急便との関係を大事にしてきた。それだけに、湯浅被告の主張は、次の三点から本当ではないかと思われた。

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