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この10年で激変!本当においしい「日本ワインランキング」

取り扱う店も急増中
鹿取みゆき(かとり・みゆき)
フード・ワインジャーナリスト。信州大学経法学部特任教授。日本ワインに詳しく、著書に『日本ワインガイド 純国産ワイナリーと造り手たち』

大越基裕(おおこし・もとひろ)
銀座レカンのシェフソムリエを経て独立。世界各国を行き来しながら、レストランのワインディレクターやワイン学校の講師を務める

この10年で急激に評価が高まった

大越 近年、日本のワインに対する評価がどんどん高まっていますね。

鹿取 以前から進化の素地はありましたが、大きく変わり始めたのは2000年前後。ワインの原料である葡萄栽培を大事にすることをベースにしてワイン造りをする人たちが増えてきました。

つまり、「美味しい葡萄を作らないと美味しいワイン造りはできない」という当たり前のことを生産者も農家も認識し始めたのです。

個人で葡萄を育ててワインを造ることを重視する第一世代がいるとすると、現在は第三世代くらいまで出てきていますね。

大越 第一世代で有名なのは、岡本英史氏のワイナリー「ボーペイザージュ」でしょう。彼のワインを初めて飲んだとき、日本のワインでこんなに美味しいものがあるのか、と衝撃を受けました。今となってはなかなか手に入りませんけれどね。

鹿取 第二、第三世代も第一世代と同じように葡萄栽培をしつつ、できるだけ環境に優しく生産するようになりました。化学合成農薬はあまり使用しない、除草剤は撒かないように工夫しています。醸造の際も、培養酵母を使わず、自然酵母で発酵させる人も出てきました。

大越 それと同時に、収穫した葡萄を選別する選果技術も発展してきました。葡萄の選果はワイン造りにおいて重要です。小規模ワイナリーでは一つずつ手作業で梗から果実を取っていますが、最先端の選果機械を導入しているところもあります。

 

一人で森を開墾して造るワイン

大越 比較的新しく登場したワインのなかでも、長野県にあるドメーヌ・ナカジマの泡、ぺティアン・ナチュール・ロゼはお勧めです。収穫した巨峰を一旦陰干しし、旨みを凝縮させてからワインに使用しています。

鹿取 ドメーヌ・ナカジマは今後が期待できるワイナリーのひとつですね。何度かフランス料理と合わせるワインの会でもふる舞いましたが、他の高級ワインを抜いて一番人気になるほど。オーナーの中島豊氏はフランス料理の学校「ル・コルドン・ブルー」で勉強をしていたそうです。

大越 最終的に自分の求めている味がしっかりイメージできているのだと思います。

鹿取 新しいワイナリーとして注目を浴びているのは、ドメーヌ・オヤマダ(山梨県)。白ワインのBOW!はどんなに疲れていても飲めてしまうような美味しさです。

大越 オーナーの小山田幸紀氏は、山梨の老舗ワイナリー「ルミエール」の醸造長を務めてきましたが、'14年に満を持して独立されました。自然が大好きな方で、大地とともにワインを造っているような人。ひたすら畑に出て、どうやったら美味しいワインが造れるか日々研究しています。

鹿取 今年は日本各地が天候に恵まれず葡萄栽培も大変だったようですが、小山田氏の畑は農薬も使わずに、健全できれいな葡萄が収穫できていたそうです。

大越 同じ白ワインでは、北海道のタプ・コプ ブラン(Kondoヴィンヤード)もレベルが高いと思います。ソーヴィニヨン・ブランという品種を使っていて、一般的にこの品種はグレープフルーツや青草のような雰囲気があるのが特徴ですが、そのイメージを覆すワインです。葡萄の熟度をしっかり上げており、花の蜜の香りがありますが、バランスの良い辛口で、素晴らしい余韻です。

鹿取 「タプ・コプ」とはアイヌ語で“小高い丘”を意味しますが、その名の通り小高い丘の斜面で葡萄を栽培しています。オーナーの近藤良介氏は、森に戻ってしまった耕作放棄地を一人で開墾し、畑を拓いたそうです。そんな話を聞くと、飲んでみたいって思いますよね。