Photo by iStock
政治政策 地震・原発・災害

「廃炉コスト21兆円」を国民に払わせようとする経産省の悪だくみ

国民に謝罪するのが先じゃないですか?

廃炉コストは見積もりの4倍に

経済産業省は先週金曜日(12月9日)、東京電力・福島第一原発(1F)の溶け落ちた核燃料デブリを取り出す工程が近付き、過少見積りを放置すると政府が過半数の議決権を持つ東京電力が債務超過に陥るリスクが強まってきたため、「廃炉」コストを従来の4倍の8兆円に増額して電気料金に転嫁する方針を公表した。

あわせて「賠償」、「除染」、「使用済み燃料の中間貯蔵」などのコストも増額した結果、1Fの事故処理費用は総額で21.5兆円(推計)と3年前(11兆円、同)のほぼ2倍、5年前の約3.6倍(6兆円、同)に急膨張した。

同省は、この巨費を「東電改革による資金確保が原則」と自助努力で賄うかのような説明を前面に押し出しているが、実態は、 “国営・東電”への関与を強化・長期化して同社中心の業界再編を目論む一方、肝心の資金については、時間をかけて電気料金と税金に転嫁、最終的に国民につけ回す方針だ。

国営・東電が業界トップという状態のまま、今年4月に電力小売り自由化をスタートさせたのは問題だった。加えて、同社を軸に業界再編を後押ししたのでは、電力市場は市場の態を成さなくなる。

さらに、国民に負担拡大を求めるなら、これまでの計画が失敗した原因と責任を明確にして、国民に謝罪することが前提だ。

Photo by iStock

1990年代の銀行の不良債権処理では、旧大蔵省が解体され、銀行の経営陣は身を引いた。今回に当てはめれば、経産省・資源エネルギー庁の解体と、現役の経産省官僚の天下り役員も含めた東電の全役員の退陣に相当する。

また、原発事故処理の原点に戻り、改めて資本主義の原則に沿って東電の破たん処理を模索するのが筋だろう。いずれにせよ、今度こそ、原発を巡る国民的な議論が求められている。

経産省が9日に新たなコスト見積もりなどを示したのは、同省の有識者会合である「東京電力改革・1F問題員会」(東電委員会)、総合資源エネルギー調査会(経産大臣の諮問委員会)の下部組織、自民党の原子力政策・需給問題等調査会(額賀委員会)の3つだ。

この3つを使って、同省方針に基づく原発の後始末を強引に既成事実化する意図が伺える。

本稿では、まず、東電委員会に出された「提言原案骨子案」「参考資料」をもとに経済産業省の主張をフォローし、4種類の1F事故の処理費用の増加ぶりと、費用の捻出方法をチェックしておきたい。

この続きは、プレミアム会員になるとご覧いただけます。
現代ビジネスプレミアム会員になれば、
過去の記事がすべて読み放題!
無料1ヶ月お試しキャンペーン実施中
すでに会員の方はこちら