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任天堂「イノベーションのジレンマ」を打破する“捨て身”の生存戦略

復刻版ファミコンは売れているけれど…

12月15日にはiPhoneのゲームアプリ「スーパーマリオラン」の配信がいよいよスタートする任天堂。この頃とかく話題の多い同社だが、実はいま、経営的には大きな岐路に立たされている。

大ブームを湧き起こしたポケモンGOは100億円の利益を叩き出したが、足元の業績はきわめて厳しい状況だ。

Wii Uは販売不振から生産中止となり、同社は次世代機であるNintendo Switch(ニンテンドースイッチ)」に期待を寄せるが、市場の評価は二分している。

皮肉にも、かつてのファミコンをそのまま小さくした復刻版商品「ニンテンドークラシックミニ」が品切れ続出となっており、あらためて同社がファミコンの会社であったことを市場に印象付けた。

同社は、ハード依存の構造から脱却すべく、キャラクタービジネスの本格展開を目論むが、企業の体質転換は容易ではない。

キャラクターを外部に開放し、スマホなどオープンなプラットフォームをフル活用すれば、同社は「大化け」する可能性があるが、それはリスクとの引き換えになる。

 

新型機よりも復刻版商品が話題に

任天堂は今年10月、販売不振が続いていた家庭用ゲーム機「Wii U」の後継機種として、来年3月に「Nintendo Switch(ニンテンドースイッチ)」を投入すると発表した。

スイッチは、これまでコードネーム「NX」と呼ばれていたもので、据え置き型ゲーム機でありながら、携帯型ゲームとしても使える仕様になっているのが特徴だ。同社は満を持して新商品を発表したわけだが、皮肉なことに市場で話題になっているのは、こちらではなく、復刻版商品「ニンテンドークラシックミニ」の方である。

任天堂ホームページより

クラシックミニは、1983年に発売された家庭用ゲーム機(いわゆるファミコン)の復刻版商品で、11月10日に発売開始となった。

基本的なデザインはファミコンそのままに本体サイズを60%に縮小。ドンキーコング、マリオブラザーズ、パックマン、ゼルダの伝説など往年の名作を含む30タイトルがあらかじめインストールされている。ちなみにカセットの交換は必要ないので、そのままで全ゲームが利用できる。

ゲーム関連メディアの「ファミ通」によると、発売から4日間の推定国内販売台数は26万台を突破し、品切れとなる店舗が続出した。価格は税別で5980円だが、オークション・サイトでは2倍から3倍の値段が付き、海外では400ドルを超えるケースも見られた。

同社がクラシックミニを発売した最大の狙いは、次世代機スイッチの販売促進である。ファミコンを捨ててしまった中高年世代をターゲットに、子供と一緒にもう一度、任天堂のゲームに触れてもらい、ついでに次世代機も買ってもらうという流れを目指したのだ。

だが肝心の次世代機の市場における評価は二分している。

スイッチは、据え置き型ゲームであるWii Uと携帯型のニンテンドー3DSを合わせたような製品といってよい。

スイッチは場所を選ばないので、多様化する利用者のニーズをうまくカバーできるとプラスに評価する声があるものの、一方では、スマホ・シフトと従来の据置型ハード路線の折衷であり、中途半端な位置付けになってしまったとの声も聞かれる。

実際に販売が始まらなければ何ともいえないが、販促ツールであったクラシックミニが品切れ状態というのは少々皮肉な状況といってよいだろう。