〔撮影〕山崎智世
ライフ

糸井重里さんと考える「犬と猫とご機嫌につきあう方法」

大人気『ドコノコ』アプリ誕生秘話

愛犬ブイヨンと出会って13年。彼女が糸井家の一員となってから、糸井さんにはさまざまな想いが生まれた。今、巷で大人気の『ドコノコ』アプリの誕生秘話とともに、糸井さんと犬と猫とのつきあい方について考える。

(取材・文/牧野容子、構成/伊藤まなび)

〔撮影〕山崎智世(以下すべて)

出会いは一目惚れだったのだが… 

「そういえば、出会ったのは僕が55歳になる少し前だったかな…」

糸井重里さんと愛犬ブイヨンとの日々が始まったのは、今から13年前の夏。

「知り合いのブログに、生まれたばかりの犬の写真が掲載されているのを見つけて妻に見せたら、〝会いに行きたい!〞と言ったんです」

それは猟犬の血を引くジャックラッセルテリアという犬種の女のコだった。

すぐに二人で会いに出かけたものの、じつは糸井さんも、妻で女優の樋口可南子さんも、若い頃に飼った犬に対して後悔の念があったことから、安易な気持ちでは飼えないという想いをずっと心の中に抱えていた。

 

そのことについて、糸井さんは著書の中でこう書いている。

〝長い人生のなかで、犬を飼ったり犬と暮らしたりという経験は、これまでにもありましたが、自分が幼すぎたり、よくない意味で若すぎたりしたために、犬の幸せを奪ってしまったと考えていました。

ぼくに犬と暮らす資格ができるのは、いつごろなのかわからないけれど、いつか人間としてもっとしっかりして、ほんとうに安定した家庭に犬を迎え入れられるようになるまでは、犬はどこかにいて、想像のなかでかわいがるだけでいい。そんなふうに思っていたのでした。〞(『ブイヨンの気持ち。』より)

「会ってみたら、僕のほうが積極的になりました。〝この犬(コ)〞と毎日いたい、と思った。恋に落ちるみたいな感じだったんでしょうね」

ブイヨン

つまりは夫婦二人とも直感的に惹かれたということなのだ。しかし、決断までは慎重だった。犬は飼い主の意思や生活に合わせて生きることしかできないのだから、そのことをちゃんとわかっていないといけない。

何度も何度も家族会議を重ねて先々の仕事の仕方などをお互いに話し合い、犬を不幸にしない生活をしっかりイメージすることができてから、自信をもって〝プロポーズ〞を決行。こうして〝この犬(コ)〞は糸井家の一員になり、「ブイヨン」と名付けられた。

ブイヨンとの生活が始まると、糸井さんに少しずつ変化が起こった。そのひとつが、よく写真を撮るようになったことだ。2006年から、自身が主宰するウェブサイト『ほぼ日刊イトイ新聞』(通称『ほぼ日』http://www.1101.com/home.html)で写真日記の連載企画が始まると、その行動にさらなる拍車がかかった。