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企業・経営

バニラエアはこうして黒字化の「上昇気流」に乗った

五島勝也社長に聞く

バニラエアが好調だ。'11年にANAとエアアジアの合弁によるLCC(格安航空会社)として創業したが、当時は黒字化を果たせず、'13年にいったん運航を終了。しかし同年末に「ANAはビジネス客を、バニラエアは近距離リゾート客を」と棲み分けを図り再度就航すると、成田~奄美大島、台北便などが人気を博し、'16年には念願の黒字化を達成した。現在の社長はANA出身の五島勝也氏(52歳)だ。

飛行機は電車に乗る感覚で

【需要】

当社は「需要を創造する」企業です。たとえば、成田~奄美大島線。当社の就航前、東京から奄美大島への航空運賃は片道4万円台でした。しかし当社便は、売り出し直後の最低運賃が片道8000円。就航後、空港関係者は「若い人が押し寄せてきた」と驚き、地元に経済効果を及ぼしたためか、島の酒場で「バニラエアの者です」と言ったら大いに感謝されたほどです。

確かに、運航前の需要の予測は難しかった。しかし現地を訪ね、魅力を発見し、旅行会社の方にも現状を伺い「必ず需要はある」と新路線就航に踏み切ったのです。こうして新しい需要を創り出すことがLCCの価値なのだと思います。

【ジュース】

出身は熊本県です。子どもの頃から「飛行機は特別な乗り物」という意識がありました。父と大阪万博を訪ねた時、CAの方にジュースを渡されても無料と理解できず、父に「飲んでいいの?」と確認した覚えがあります(笑)。懐かしい思い出ですが、私はこれを変えたい。LCCは、飛行機を電車に乗る感覚で利用してもらうことで成り立つビジネスです。

電車と同様に、乗り遅れたお客様をお待ちすることはできません。機材を効率的に運用するため、到着から次の出発までの時間を短くしているのです。機内での食事等、追加のサービスは、お客様に必要なだけ買っていただきます。

こうして安全面以外のコストを下げ、かわりに電車やバスのように気軽に乗っていただける運賃を実現しているのです。

【上昇気流】

大学生の時、グライダーを操縦する「航空部」に所属していました。グライダーに結びつけたワイヤーをウインチで一気に巻き取ると機体が離陸し、滑空を始めます。エンジンはなく、すぐ着陸するものと思われがちですが、私は5時間も飛び続けたことがあります。

空には「上昇気流」があります。たとえば日当たりがよい工場の屋根などの上には、空へ昇っていく気流が発生するのです。パイロットはこの気流の中をぐるぐる旋回しながら上空を目指します。

グライダーに乗った五島社長。入部のきっかけは「大学入学後、たまたま、グライダーを見かけたこと」とか

思えば、グライダーの操縦は経営に似ているかもしれません。雲の動きや地形など、何かを捉え、目に見えぬ空気の流れをしっかり見るのです。部活が面白すぎ、大学の授業を受けているヒマがなかったほどです。

ANA入社後、大学院に行かせてもらった時、語学力も知識もなく「私はこんなにバカだったか」と自分でも驚きました。

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