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世界経済 韓国

韓国経済に忍びよる危機 〜財閥企業の苦境に加えて政治まで大混乱

このままでは不安定な状況が続く

韓国の大統領、朴槿恵(パク・クネ)が政治生命の危機に直面している。

長年の友人、崔順実(チェ・スンシル)の国政介入などを巡って大統領側近が起訴される中、検察からは大統領本人の共謀も認定されている。12月上旬にも野党は弾劾案を採決する方針で取りまとめを急いでおり、大統領が一段と厳しい状況に追い込まれるのは時間の問題だろう。

韓国では大統領経験者やその親族が、民間企業から不正資金を受け取るなどしてスキャンダルに発展した例が多い。

今回も、崔被告の設立した企業や財団に便宜を図るよう、大統領が財閥企業などに圧力をかけたことが報じられている。そこには、身内の利益を重視する文化、そして、一部の財閥企業による経済の支配、という韓国特有の事情が影響している。

すでに財閥傘下の韓進海運は、積極経営が裏目に出て経営破綻に陥った。世界の需要が低迷する中、スマートフォンや液晶テレビ、自動車などの輸出主導で業績を拡大してきた財閥企業の経営は行き詰りつつある。

そこに政治の混乱が加わることで、韓国経済は厳しい状況に直面する可能性が高い。

 

財閥が牛耳る韓国経済

韓国経済の成長率は、サムスンや現代などの財閥企業の業績動向に大きく左右される。世界経済が好調である場合は、輸出の増加を通して財閥企業の業績が拡大し、経済成長率が高まってきた。

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実際、韓国には50万社程度の企業が存在するが、全体の純利益の40%程度を10大財閥が占めている。そして、韓国の輸出依存度(GDPに対する輸出の割合)は50%程度と、国際的にも高い。

財閥と外需に依存した経済構造を整備したのが、現大統領の父親、故朴正煕(パク・チョンヒ)元大統領だ。故朴元大統領は、“開発独裁”と呼ばれる政策を進めた。

その中で、独占取引権の認可などを通して財閥企業の成長を支え、海外需要の取り込みを軸とする成長戦略が採られた。第二次世界大戦、朝鮮戦争の混乱の後、短期間で経済を立て直すためには、一定の経営基盤があった財閥企業を重用する意義は大きかったのだろう。

この政策は“漢江の奇跡”と呼ばれる経済成長をもたらした。同時に、財閥の重用は政界と財閥企業の癒着につながり、一部の権力者と財閥に属す者が富み、それ以外の人は成長の恩恵を享受しづらい状況が続いてきた。

それは、韓国の経済が、公正に富を配分する機能を備えていないことの裏返しである。

また、外需依存度の高い経済は海外経済の変調に弱い。1997年のアジア通貨危機の中、韓国は外貨建て債務の返済に行き詰りIMFの支援を要請した。その後、韓国は為替介入でウォン高を抑えつつ、財閥企業の収益を支えて経済を成長させた。

そして、韓国企業はヒット商品を生み出すよりも、海外の技術を模倣し価格競争を仕掛けて成長してきた。それでは、世界経済の需要が低迷し、輸出が伸び悩む環境に対応することは難しい。

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