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企業・経営

借金10兆円超え、孫正義とみずほ銀行の「見果てぬ夢」

もう引き返せない運命共同体

1兆円をポンッと貸した際は、周囲も大丈夫かと驚いた。借金をテコに兆円単位の事業を次々断行する孫正義と、その借金経営を支えるみずほ銀行に死角はないか。最近、ヒヤッとする一幕が起きた。

まだ、足りない

ソフトバンクグループが英半導体設計大手のアーム・ホールディングスに対して仕掛けた3・3兆円の巨額買収劇が、「世紀のビッグディール」と騒がれたのは約4ヵ月前のことである。

あの日以降、ソフトバンクの孫正義社長(59歳)はおどろくほど慌ただしい日々を送っている。

毎週のようにアーム社の経営陣たちとミーティングするのはもちろん、月に一度は互いに顔を合わせて経営議論を交わしている。

アーム社のCEО(最高経営責任者)はサイモン・シガース氏だが、孫氏はみずから実際に経営に入り込むと、サイモン氏を連れ立ってアーム社の主要取引先へトップ外交に飛び回ってもいる。

「今後10年分くらい契約したい」——孫氏はいつもの人懐っこい笑顔で取引先の心を掴むと、さっそくこんな色よい返事を引き出しているという。

今秋には、ソフトバンクからアマゾンジャパンに転じていた田中錬氏も呼び戻した。さっそくアーム関連事業の実働を担うARM事業推進室長に抜擢するなど、孫氏は細かな人事の差配にも抜かりがない。

1981年に孫氏が一人で立ち上げたソフトバンクは、売上高9兆円の「巨象」に成長した。孫氏が創業来保有するソフトバンク株の価値もいまや1兆5000億円に膨れ上がった。並の経営者であれば、「やり尽くした」と経営への熱量が冷めてもおかしくないが、孫氏の場合はむしろここへきてヒートアップしている。

 

「最近、いろいろと反省することが多い。なにを反省しているかと言うと、保守的に、堅く、小さく、固まっていたのではないかと」

実際、孫氏は11月7日に行った投資家向けの説明会で、こんな胸の内を明かしている。

「目の前の日常業務に忙殺されて、いたずらに年が過ぎていく。もっと積極的に、このテクノロジーの進化に対して、しっかりと取り組んでいかなければならないのではないか。

私が事業家として、また、情報革命に取り組む人間の一人として、忙殺の中に過ぎ行く自身の姿を振り返ってみて、猛反省し、いろいろと手を打っていかなければいけないのではないかと」

そんな言葉を裏付けるかのように、今秋、孫氏はアームプロジェクトに続く「次」も始動させた。

サウジアラビアなど中東の政府系ファンドとともに、10兆円規模の投資ファンドを作るという一大構想がそれ。ソフトバンク自身も2・6兆円ほどの巨額資金をぶち込みテクノロジー企業に投資すると宣言して、世界中の市場関係者の度肝を抜いたのである。

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