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女性官能小説家が断言「ペニスは大きさじゃない!」

なぜ男はソコにこだわるのか

官能小説におけるペニスの役割

官能小説を書く時には、いくつかのお決まり事がある。例えば、ヒロインが若い娘でも、妙齢でも、熟女でも、とにかく「美しく、性的魅力に富んでいる」ことが大前提で、清純な処女であったり、貞淑な人妻であったり、職場の高嶺の花であったりと、主人公の手には、そう簡単に入らない存在にする。

しかし、そんな憧れの存在のヒロインが、とあるきっかけで主人公と親しくなり、「特別に、身体を許してくれる」。主人公はヒロインと触れ合うことで、男として成長を遂げたり、すっかり失くしていた自信を取り戻したりと、なんらかの変化を遂げるのである。

情交のシーンでは、ヒロインの肉体と反応……ようはその女性と、そのセックスが、いかに魅力的であるかを、ページを割いてじっくりと描きあげる。これこそが、官能小説を官能小説たらしめるものなのだが、情交シーンにおいて、もうひとつ、大切なことがある。それは、男性の下半身、ようはペニスの逞しさを、迫力いっぱいに描くことだ。

むろんヒロインの身体については、女らしさを感じさせる全体のフォルムを始め、乳房の大きさやかたち、乳輪の色、尻や太ももの肉づきなど微に入り細に入り描写する。これは、官能小説を「実用」としても使っていただくためには必要不可欠な要素だ。しかし、男性のペニスの描写は、いったい何のためのものなのだろうか。

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わたしが官能小説を書き始めた当初、ペニスを描写する時は、男性の逞ましさを表すことを意識して描いていた。

というのも、多くの男性は官能作品を読む場合には、その主人公のペニスを読者自身のペニスに投影する。ヒロインの女性器へと挿入するペニスの様子――いかに雄々しいか、野性的であるか、優れているか――が迫力を持って描かれていると、それにシンクロして、セックスの満足感を味わうことが出来るというわけだ。

また、セックスには、多くの場合「相手を支配したい」という欲望が関わってくるが、男性が「目の前の女を支配した」という達成感を感じるためには、ペニスを使うことが、最も手っ取り早くもある。ようするにペニスは相手の女性に愉悦を与えると同時に、相手を支配するためのツールでもある。

だからこそ、多くの場合、ペニスは、現実とはかけ離れた姿形――大げさに誇張にて描くことを期待される。凌辱モノの悪役のペニスが巨大かつグロテスクな姿かたちであることは、ある意味ふさわしいといってもいいが、たとえ主人公が内気な童貞の少年であっても、ペニスだけは、手練れの熟女に驚きの声をあげさせるほどに立派に描かれる。官能に描かれるペニスは、いつもいつも、「立派なシロモノ」ばかりなのである。

 

ペニスをどう描写するか、あれこれと頭を悩ませながらも、女のわたしからすると、「なぜペニスは、逞しくあらねばならないか」という理由を考えるのは、非常に興味深い。

というのも、女の場合は、自分とかけ離れた「優れた女体」を目にした場合、その女体を「美しい」と感じることはあっても、なかなか自分に引き寄せ、自らの身体にシンクロさせて興奮することは難しいからだ。

その女体が受けている行為に「いやらしい」と劣情を覚えることはあっても、女体のフォルムは、自らの劣情とは関係がない(ただし、レズっけのある場合は例外になるし、女体そのものが好きだという女性ももちろんいないことはない)。