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防衛・安全保障
日本政府が伝えない南スーダン「国連PKO代表」不在の異常事態
自衛隊は、本当に無事でいられるのか?

自衛隊が国連平和維持活動(PKO)を行うために派遣されている「国連南スーダン派遣団(UNMISS)」。その代表を務めたエレン・ロイ事務総長特別代表(デンマーク)が11月30日付で退任し、今月1日から代表の座が空席となっていることがわかった。11月には軍事部門のオンディエキ司令官(ケニア)が更迭され、やはり空席となっている。
 
会社でいえば、社長と専務がいない状態だ。決断し、実行を命じるトップが不在では会社は成り立たない。UNMISSには副代表や軍司令官代理がいるものの、それでコト足りるなら、最初から代表や軍司令官は不要ということになる。やはりこれは異常事態と見るべきだ。
 
そんな中、陸上自衛隊第9師団(青森)を主力とする部隊は数次に分けて南スーダンへ出発した。UNMISSの指揮命令系統のトップ不在という異常事態下で、武器使用を拡大した「駆け付け警護」「宿営地の共同防衛」という新任務に12日から就くことになる。
 
日本政府は派遣期間を延長した10月25日の閣議決定、新任務付与を命じた先月15日の閣議決定で、それぞれ「基本的な考え方」を発表し、南スーダン情勢や新任務について踏み込んだ説明をしているが、UNMISS代表が不在となることには触れていない。自衛隊が派遣される首都ジュバを10月8日に訪問してロイ代表と面会した稲田朋美防衛相は自身の進退を含めた「今後のUNMISS」について説明を受けなかったのだろうか。

 

なぜ後任が決まらないのか

退任したロイ代表は、チェコスロバキア大使、国連代表、イスラエル大使などを歴任したベテラン外交官。2014年7月7日、UNMISS代表を11年7月から務めたヒルデ・ジョンソン女史(ノルウェー)と交代した。11月28日、UNMISSであったロイ代表の退任会見で報道官が「ロイ代表の任期は今年8月末だったが、7月危機(ジュバであった武力衝突)を受けて、事態が落ち着くまで残ることを選んだ」と説明した。

11月30日付で退任したエレン・ロイ氏【PHOTO】gettyimages

予定の退任が8月末だったとすれば、なぜ12月になっても後任が着任しないのか。PKOを担当する日本の外務省国際平和協力室に尋ねると、「まだ決まっていないのです」という。後任については「ふつう退任時期が決まっていれば、円満に交代するため後任を選ぶのは当然。これは推測でしかありませんが、何かの都合で内定者が辞退したなどが考えられる」と説明するが、客観的にみれば、南スーダンの情勢があまりに悪化しているため、後任が見つからない、ということではないのか。
 
UNMISS代表は事務総長特別代表という肩書が示すように、当該PKOについて、人事権はもとより、任務の決定、予算の執行などあらゆる面で絶大な権限を持っている。UNMISSは国連加盟の約60カ国から軍事部門13058人、文民部門769人を集め、地元スタッフを加えれば15000人以上になる巨大な国連組織だ。
 
そんな組織のリーダーが不在となった現在、二人いる副代表が役割を分担して補完しているようだ。いつ代表が決まるのか、外務省国際平和協力室は「何も聞いていません」と答えるのみ。いつになれば代表不在という異常事態が終息するのか、見通しはまったくたっていないという。