田舎暮らし体験のワークショップにて。写真提供/著者
人口・少子高齢化 医療・健康・食

アラサー狩猟女子が始めた自給自足のリアル『テラスハウス』生活

数年前までは普通の会社員でした

午前中に罠の見回りを済ませ、薪の床暖房に火を入れて、ついでに摘んできた野草でお昼ご飯を作り、Twitterを眺めながらちょっと休憩。午後からはパソコンに向かって仕事を始め、時間ができれば山や畑へ。これが私の普段の1日です。

今、私は福岡県糸島市の小さな集落で“自分の暮らしを作る”がテーマの「いとしまシェアハウス」を運営し、畑、田んぼ、狩猟をしながら暮らしています。今でこそ火を焚いたり山に入ったりという日々を送っていますが、数年前までは都会に暮らす普通の会社員でした。

この暮らしを始めたきっかけは、東日本大震災。当時横浜に住んでいた私は、計画停電や水・食料の買占めなどを経験し「いざというときお金って役に立たないんだ!」とショックを受けました。

そのときに、これからはどんな環境でも生きていける技術を身につけたい、信頼できる人と一緒に暮らすコミュニティを作ろう、と決意したのです。

特に失うものもないし、やれるところまでやってみよう、と田舎に移住して4年目。なんとか楽しく暮らしているということは、この生き方意外といけるんじゃない? と思い始めています。まだ道の途中ではありますが、今の私たちの“暮らしの実験”について、お話ししたいと思います。

 

消費するだけの暮らしから、自分で生み出す暮らしへ

我が家があるのは福岡空港から電車で1時間、海から車で5分の山の中腹。くねくねと曲がる道の先には棚田が広がり、季節ごとに美しい花が咲き乱れ、山から湧き出た水が川となって海へと繋がる自然豊かな場所でもあります。

集落は全部で18世帯、水道は通っていないので毎日が湧き水暮らし。天然水のお風呂に入るという贅沢な暮らしをしています。

運営するシェアハウスの住人は、現在8人。料理人、酒蔵の蔵人、整体師、パタンナー、翻訳家、ヨガ講師、ライター……など一人一芸を持ったメンバーが集まり、築80年の古民家を改修しながら一緒に住んでいます。

個性豊かな初代シェアメイトたち。写真提供/著者

コンセプトは「食べ物」「仕事」「エネルギー」を自分たちで作ること。お米は100%自給、畑でささやかな野菜を作ったり、畑や田んぼに来る猪を獲ってお肉の自給も進めています。おかげで月の食費は一人あたり、3000円から4000円程度。お米の自給が進んでからは食費が格段に安くなりました。やはり主食の自給は強い!

農作業は米リーダー、大豆リーダー、小麦リーダーなど、それぞれが自分の好きな野菜のリーダーとなり、人手が必要なときにみんなに声をかけて一緒に作業しています。

エネルギーの自給で言えば、太陽光パネルの発電機をみんなで作ったり、薪で床下を暖める韓国の伝統式床暖房「オンドル」を作ったり、薪ストーブで料理したりと薪を使った暮らしにもチャレンジしています。

お金はかからないけれど、その分薪割りをしたり火を焚いたりとマンパワーと時間がかかります。だから、薪はある意味贅沢品。大切に使っています。

オンドルに火を入れる様子。写真提供/毎日新聞社

まだすべてのエネルギー自給ところまでは到達していませんが、私たちが実践しているのは“完全な自給自足”というよりは“プロセスを知る”こと、“依存しない暮らしを作る”こと。

全てを賄えなくとも、万が一何かあったときに自分たちでなんとかできる術を持っている、ということが大切な気がしています。