社会保障・雇用・労働

日本マイクロソフトはなぜ「女性離職率40%減」を実現できたか

ワークスタイル変革の極意
越川 慎司 プロフィール

勤務表以上に大切なもの

現在、日本マイクロソフトでは、一部の従業員を除き、年俸制の裁量労働制になっています。もはや、かつてのような年功序列制度は存在しないので、年齢や勤務年数が考慮されることもありません。基本給に連動するジョブレベル、それに準じた評価給と成果給がすべてです。

そのために、レベルによる評価基準を「見える化」し、共通認識のもとに評価が行われます。また、評価される従業員に関わった他部門の長などのフィードバックや評価も参考にしながら、直属の上司と人事部が公平に査定しています。

日本マイクロソフトにも、勤務時間制度(フレックスタイム制度)はあります。ただ、2016年5月にコアタイムを完全になくしましたから、何時から何時までは働いていなくてはいけない、という制限はなくなりました。

また、日本の法律に準拠し、勤務表はきちんと提出しなくてはなりません。そのため、1ヵ月に1回、社内サイトにアクセスして、何時から何時まで働いたという勤務表を提出することになっています。

労働時間の申告は性善説に基づいていますが、超過労働が一定量を超えると、上司に警告メールが届きます。警告メールが来ると、人事部を交えて労務衛生上の改善策を話し合うことになります。

ただ、勤務表による警告メールで、人事部を交えて改善策を話し合うことはあまり多くありません。定例の上司・部下の一対一の面談の場で、働き過ぎであるとか、働くうえでの悩みを聞き、面談を通してケアしていくことのほうが多いといえます。

やはり、面と向かったコミュニケーションは強力です。相手の悩みを引き出し(もしくは察知し)、腹を割って真剣な話し合いをすることができます。上司・部下のアライアンス(絆)を強めるだけでなく、「よりアチーブモアな働き方をしよう」というモチベーションの向上にもつながります。

こういったときには属人的な部分での対応が必要であり、企業文化を醸成し、「ビジネスを成長させる」というマインドを持たせたうえで、適切なインタラクション(相互作用)を定期的に行う必要があります。

 

その「改革」はなんのため?

実際に、「ワークスタイル変革」は、労働量の確保だけを目指すのではなく、労働の質、つまり全社員が活躍できるように働き方の質を高めることを目標としているのです。

この本来の目標を常に意識していないと、成功には至りません。流行りの「働き方改革」として、制度を整えることばかり考えている企業は、失敗しています。

この2つは似て非なるものだと、私は声を大にして言いたいと思います。

何かうまくいかない要因があったりして、それにいつまでも不平不満を言っているだけでは問題は解決されないですし、その不満を解消するために「働き方改革」をしていては、企業としての業績をあげるのは困難です。これからますます、難しいものとなっていくでしょう。

「福利厚生」的な発想による「働き方改革」では、企業にも個人にもプラスの効果をもたらさない、ということです。

これからは、「正(プラス)」を生み出す人がよりポジティブな状況で働けるように企業文化を変えていき、「負」といわれる人たちも含めたすべての社員を「正のハイパフォーマー」に変えていかなくてはなりません。

「前に進みたい」「成長したい」「成果を出したい」「成功したい」というポジティブなエネルギー、そのプラスのエネルギーを思いっきり発揮できる企業文化、企業制度をつくっていかなければならないのです。

自らの可能性を高める効率的な働き方を目指すビジネスマン個人、また、各企業の「働き方改革」担当者、必読の1冊(amazonはこちらから)