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Jリーグ開幕元年を思い出す「チャンピオンシップ」の戦い
プレッシャーの懸かる大一番

11月23日からJリーグチャンピオンシップ(CS)がスタートしました。

今年は浦和レッズ(年間勝ち点1位、2ndステージ覇者)、川崎フロンターレ(年間勝ち点2位)、鹿島アントラーズ(年間勝ち点3位、1stステージ覇者)の3チームが優勝を争います。

まず準決勝で鹿島が川崎Fを破り、決勝に進出しました。29日の決勝第1戦では浦和に敗れましたが、最終戦が残っています。まだまだこれからです。

 

経験値の差が出た準決勝

鹿島が1-0で川崎Fに勝利した準決勝は、粘り強く耐えて、ワンチャンスをモノにしました。一方の川崎Fはボールを保持してチャンスは多かったが、決めきれなかった。この試合では“勝ち方を知っているか、知らないか”が結果に表れたように思います。
 
サッカーは時間帯によって波があります。攻める時間帯、相手に押し込まれる時間帯。この波をきちんとピッチの中で把握することが大事です。我慢するところは我慢する。そしてチャンスでは、きっちりとゴールを決めきる。勝負どころを嗅ぎ分けた鹿島らしい試合運びでした。
 
決勝はホーム&アウェイ方式で行われます。浦和は直近の公式戦から2週間以上も空いていて、試合勘不足を心配する声もありました。ですが、選手たちは1位でリーグを終え、良いイメージを持っています。浦和にとって、17日という時間はコンディションの調整がしやすい“良い期間”だったのではないでしょうか。
 
第1戦は29日、鹿島のホームスタジアムで行われました。結果は0-1で鹿島の敗戦。僕は素晴らしい試合だったと思います。お互いに注意深く入った立ち上がりでした。厳しくプレスを掛け合い、両チームから“相手に先制点を取らせたくない”という意図が伝わってきた緊張感のあるゲームでした。
 
前半はシュートゼロだった鹿島に後半6分、決定機が訪れましたがMF遠藤康のシュートはGK西川周作に止められました。あそこがこの試合の勝負どころでしたね。西川はノッていました。飛び出す際にも迷いがなく、判断も冴えており、この日の西川は素晴らしかったと思います。
 
その後、鹿島は不可解な判定でPKを取られ、先制点を奪われた。主審の判定のせいで虚しさがこみ上げてきました。この試合の主審は過去にも問題を起こしています。大事なCSの試合で、“なぜ、彼なんだ”と思いました。主審にはしっかりと試合をコーディネートして欲しいものです。

金崎と土居は近い距離でプレーすべき

鹿島は初戦を落としましたが、まだもう1試合残っています。第2戦は難しいことは考えず、“まずは1点を取る”と割り切って欲しいです。

そのためにはFW金崎夢生を孤立させたくないですね。金崎は前線で頑張っているのですが、なかなか得点にはつながりませんでした。鹿島は彼の周辺でこぼれ球を拾えれば優位に試合を運べると思います。
 
最終戦は、金崎とFW土居聖真の2トップがもっと近い位置でプレーすべきです。そこにMF小笠原満男や遠藤が絡むことで攻撃に厚みが出ると思います。MF柴崎岳も約1ヵ月ぶりにピッチに戻ってきました。途中からでも試合に出場したことで、復調のきっかけを掴んでくれたらうれしいです。
 
今回の鹿島は初戦を落としたり、PKを取られたりと、僕が出場した93年シーズンのCSを思い出しますね。

当時は第1戦が0-2でしたが、“焦ることなく、1点ずつ返していこう”という気持ちで2戦目に臨みました。第2戦は鹿島が1点を先制したものの、PKで追いつかれてしまった。ヴェルディ川崎(現・東京ヴェルディ)に苦杯を舐めさせられてしまいました。

アウェイでの第2戦はプレッシャーの懸かる大一番ですが、“いつも通りやることは変わらない”という意識で後輩たちには臨んでもらえればと思います。

大野俊三(おおの・しゅんぞう)
<PROFILE> 元プロサッカー選手。1965年3月29日生まれ、千葉県船橋市出身。1983年に市立習志野高校を卒業後、住友金属工業に入社。 1992年鹿島アントラーズ設立とともにプロ契約を結び、屈強のディフェンダーとして初期のアントラーズ黄金時代を支えた。京都パープルサンガに移籍した のち96年末に現役引退。その後の2年間を同クラブの指導スタッフ、普及スタッフとして過ごす。現在、鹿島ハイツスポーツプラザ (http://kashima-hsp.com/)の総支配人としてソフト、ハード両面でのスポーツ拠点作りに励む傍ら、サッカー教室やTV解説等で多忙な日々を過ごしている。93年Jリーグベストイレブン、元日本代表。
*ZAGUEIRO(ザゲイロ)…ポルトガル語でディフェンダーの意。このコラムでは現役時代、センターバックとして最終ラインに強固な壁を作った大野氏が独自の視点でサッカー界の森羅万象について語ります。