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金融・投資・マーケット

年金運用は結局「勝っている」のか「負けている」のか

日経平均株価は戻ったけれど…

「プラスになった」と喜んでいいのか?

年金改革をめぐる法律審議が佳境だ。制度改革も必要だが、今ある国民の年金資産を、きちんと運用してもらうことも重要だ。今年に入って株価の下落が続いたあおりで、年金運用で巨額の損失が発生した話が報じられたが、その後、株価が戻って年金資産はどうなっているのだろうか。

年金資産を運用するGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が11月25日、今年度の第2四半期(7月~9月)の運用成績を発表した。

結果は2兆3746億円のプラス。

四半期では3期ぶりのプラスだけに、今年4月にGPIFの理事長になったばかりの髙橋進理事長らGPIF関係者はホッとひと息ついているに違いない。国会で巨額損失を責められ続けてきた安倍晋三内閣の面々も同様だろう。
 
だが、「プラスになった」と手放しに喜んでよいのだろうか。

今年度が始まる直前の今年3月末の日経平均株価の終値は1万6758円。第1四半期が終わった6月末には1万5575円まで下がっていたものが、第2四半期が終わった9月末には1万6449円と、ほぼ振り出しに戻った。ところが、4~9月の運用収益の合計では2兆8596億円ものマイナスになっているのだ。 

 

確かに株価が上昇した7~9月は2兆3746億円のプラスになったのだが、第1四半期に出した5兆2342億円の穴が埋まっていないのである。運用方法を大きく国内株にシフトしたことが批判されてきたGPIFだが、損を出している原因は、国内株ではないのか。
 
GPIFの発表資料を詳しくみてみると、投資分野ごとの収益額が出ている。GPIFは保有する資産(9月末で132兆751億円)を、大きく分けて「国内債券」「国内株式」「外国債券」「外国株式」に投資している。

基本的なポートフォリオ(資産運用割合)は、国内債券35%、国内株式25%、外国債券15%、外国株式25%ということになっている。2012年末までは60%が国内債券で運用されてきたが、安倍内閣はそれの分散化を進めてきたのだ。
 
国内株式での運用収益額をみると、第1四半期に2兆2574億円損失を出したものの、第2四半期では2兆234億円の利益を出している。ほぼ損失は消えたわけだ。

GPIFの株式運用のほとんどが「パッシブ運用」と言われる株価指数への連動を目指す運用のため、日経平均株価などの指数が戻れば、運用収益もそれに比例して上がる。市場での株価の戻りと共に、年金の損失も消えていた。
 
ではどこで損が残っているのか。

第1四半期、第2四半期通算で最も損失額が大きいのが「外国債券」の1兆5591億円。次いで「外国株式」の1兆3651億円である。為替変動がその大きな要因だと思われるが、「外国モノ」で損失を抱えているのだ。 
 
もちろん、年金運用の収益は長期的に見なければいけない。一時的に市場環境が悪いこともあるからだ。そこで使われるのが「ベンチマーク」と呼ばれる指標。市場の平均値であるこの「ベンチマーク」を上回ることを運用のターゲットにする。業界では、運用実績がベンチマークを上回れば「勝ち」、下回れば「負け」と言う。
 
では、GPIFの運用はベンチマークを上回っていたのか。つまり「勝っていた」のであろうか。 

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