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医療・健康・食 中国

「ダイオキシン上海ガニ」で中華の名店が大打撃!

中国産の「要注意」海産物

いまの時期に高級中華料理店で上海蟹の雄を姿蒸しで注文すれば、一杯5000円以上はするだろう。中国産の海産物はそんな超高級食材であっても、安心して食べることができないのか――。

まもなく禁輸になる

中国を代表する高級食材、上海蟹。旬を迎える10月から12月にかけて、日本でも高級中華料理店などでメニューに並ぶ。

ところが、今年はまもなく食べられなくなるかもしれないという。

11月2日に香港の食品衛生管理当局が、中国江蘇省の水産会社2社が養殖した上海蟹から基準値の5倍を超えるダイオキシンが検出されたと発表し、市中から800㎏の回収を決定した。この2社は香港に出回る上海蟹の7~8割のシェアを占めていた。

この余波は日本にも及んでいるのだろうか。

 

都内で9店舗を展開する中華料理の最高級店「中国飯店」。ここは毎年秋になれば、最高品質の上海蟹を供することで知られている。予約の電話を入れて、「上海蟹は食べられますか?」と聞くと、以下のような答えが返ってきた。

「はい、ございますよ。ただ、11月末まではないかもしれないので、お早めに来ていただいたほうがよろしいかと」

―どうしてですか?

「中国政府が今回の件を現在調査中だそうで、当面、輸出禁止になりそうなんです。そうなると、うちにも商品が入って来なくなります……。そろそろ禁輸になって、すぐに再開とはならないかもしれないんです」

他の名店も口を揃える。

「仕入れている業者から『2週間輸入がストップする』と連絡があって、困っています。在庫が足りなくなりそうで、先の予約のお客様には事情を話して、キャンセルさせていただかないといけないと考えています」(港区にある高級店の店員)

横浜中華街の老舗上海料理店の担当者が語る。

「現在品薄になっており、仕入れ値が高騰しています。今回の報道で、安全な上海蟹までお客様が敬遠しており、風評被害の影響も出始めています。

上海蟹はほとんどが養殖されたもの。業者が稚蟹(幼体)を仕入れて、それぞれの湖に振り分けられて養殖されます。ですから、ごく一部の上海蟹だけからダイオキシンが検出されるというのは考えられません。この騒動は長引くでしょうし、そうなると上海蟹のシーズンが終わってしまいます」

中華の名店はどこも大打撃を受けている。

中国の食品問題に詳しい愛知大学現代中国学部の高橋五郎教授が語る。

「今回の香港の検査では、サンプル5匹のうちの2匹から基準値を超えるダイオキシンが見つかった。これは発生率としては大変高いといえます」

ダイオキシンは、発がん性が確認されている、強い毒性を持つ有機化合物である。主な発生源はごみ焼却による燃焼で、土壌や水を汚染する。

「ダイオキシンは、流通過程で混ざるということはまずありません。問題となった上海蟹の産地は公表されていませんが、ダイオキシンが含まれる水の中、あるいはダイオキシンを含む土壌の近くで養殖されていたということは間違いないでしょう」(高橋教授)

真っ黒な小川が流れ込む湖

上海蟹が養殖されている場所はどんなところなのか。上海蟹の高級ブランドである「陽澄湖」に隣接し、やはり一大養殖場として知られる江蘇省の太湖を、'07年に取材したジャーナリストの奥野修司氏が語る。

「現地を案内してくれたのは、地元の元共産党幹部の息子でした。彼は『上海蟹なんてまともに食べられるもんじゃない。僕らは食べません』と言っていましたね。

上海蟹は湖の泥の中を這っていて、底には、流れ込んだ重金属がたまっているんです。湖面には藻が一面に生えていました。これは流れ込んだ農薬によって、窒素が増えているため発生しているんです。きつい臭いも漂っていましたね」