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「世界一リスクを取るアナリスト」はトランプ以後の経済をこう見る

日本経済に30年越しの大転換が来る!

30年越しの大転換が来る

ドナルド・トランプの大統領就任はアメリカ経済ばかりでなく、日本経済にも大きな変化をもたらします。それは30年越しの大転換になるはずです。

日本経済は長らく低金利の時代でした。90年9月に8.1%をつけた日本国債の10年物の金利は以後、26年もの間、下降し続け、今年7月に-0.297%となりました。それが大統領選でトランプが勝った途端に上昇に転じ、プラス圏に戻ってきた。

トランプ大統領の就任で決定づけられたのは、「金利上昇」というパラダイムシフトなのです。バブルの崩壊から約30年、ついに日本に金利上昇の時代が戻ってくるかもしれない。私たちはこの流れをしっかりと見極めて、これからの企業や日本経済にどのようなことが起こるのかを真剣に考えて行くべきでしょう。

金利上昇――。長らく景気が回復すれば金利が上がると教えられてきたものの、そんな場面には出くわしたことがない。どうにも信じがたいうえ、未だ住宅ローンを変動金利に据え置いている41歳の記者にすれば、そんなことが起こるとは信じたくない。

ところがファンドマネージャー大木將充氏は、自信たっぷりに金利上昇を予言している。

外資系証券時代の大木氏の異名は「世界一リスクを取るアナリスト」。99年の日本の金融危機の際には銀行に強気の〝逆張り″レポートを配信し的中。02年には飛ぶ鳥を落とす勢いだったオリックスに「売り」レポートを連続して配信し同社から反論が出されるなど業界を騒がせたが、大木氏の予想通り株価は大きく下落した。

これまで誰もが予想できなかった相場の潮目を数々読み解き的中させてきた大木氏の言う通り、金利上昇時代が来たならば、日本経済に一体どんな影響があるのだろうか。

 

各国のエリートが、方針転換を決意

トランプ大統領の誕生は、世界の経済刺激政策が金融政策から財政政策へ大転換することを象徴的に表しています。トランプ氏が掲げる最も重要な政策は、所得減税、法人減税、インフラ投資などの規模な財政出動だからです。これは、今から半年前とは真逆の賽が投げられたことを意味します。

今年6月の伊勢志摩サミットで、世界的な景気減速が鮮明になる中、我が国の安倍晋三総理は「リーマンショック前の経済状況に似ている」と危機感をあらわにし、首脳たちに「財政出動をやりましょう」と呼びかけました。このとき、各国の首脳は誰も反応しませんでした。

ところが10月に入ると変化が出始めた。これまでかたくなに財政出動を拒んできたドイツが、欧州委員会の「財政出動をせよ」という圧力の前に妥協し始めているのです。そして、イギリスもインフラや住宅への財政出動を決めました。欧州各国の財政危機以降、予算削減を指示していた国際通貨基金(IMF)も、現在、各国に支出拡大を求めています。

そこに来てトランプ氏が大統領選に勝利した。アメリカ大統領が「財政出動だ」と言い出せば、安倍総理が言うのとはわけが違ってくる。トランプ大統領の出現で、世界は財政出動に政策シフトする流れが決定づけられたといっていいでしょう。

財政出動で経済を刺激する政策は、資源や建材などの需要を高め、その価格が上がり始めることでインフレへと誘います。そうすると、中央銀行は利上げなどでインフレを抑え込もうと動き出す。結果、金利は上昇していくことになるのです。

先進各国の中で、財政出動を始める準備がもっとも整っているのは日本です。現在、日銀は金融緩和の姿勢を緩めてはいないが、すでに打つ手が少なくなっている。金融政策の手段が枯渇する今、今後は財政出動がメインの経済政策にならざるを得ません。

しかも与党・自民党は公共投資に熱心な二階俊博幹事長がどっしりと政権基盤の中枢に君臨している。安倍政権は財政規律の議論を押し切ってでも、財政出動を本格化させるでしょう。何より自らサミットで提唱した財政出動の流れに乗り遅れるわけにはいきません。

こうして財政出動が本格化することで金利が上がってくると、日本経済はどうなるでしょうか。