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企業・経営 地震・原発・災害

東電と官僚が画策する「廃炉費用20兆円国民負担計画」の真相

もういい加減にしませんか?

伝言ゲームで2時間もかかる

またしても、東京電力の「原子力事業者」としての資質に疑問を抱かせる“事件”が起きた。

先週火曜日(11月22日)の早朝、福島県沖を震源とするマグニチュード7.4の地震が発生し、沿岸に高さ1m前後の津波が押し寄せつつある最中のこと。福島第二原発3号機の使用済み核燃料貯蔵プールで冷却ポンプが停止したにもかかわらず、避難の周知に必要な報道機関への連絡に東電がほぼ2時間を要したのだ。

冷却機能の喪失が響いて、人類史上最悪の原子力事故となった福島第一原発の大事故から5年以上が過ぎた今年6月。事故当時の清水正孝社長の指示で、メルトダウン(炉心溶融)を炉心損傷と矮小化する「メルトダウン隠し」の事実を認めて、各方面に行った謝罪は何だったのか。

相変わらず迅速な情報開示が行われず、安全に無頓着な企業文化を露呈した。

そんな企業文化にもかかわらず、東電をめぐって2つの乱暴なプランが動いている。

第1は、東電自身が、福島第一原発事故の後始末の資金確保のためだという“大義名分”を掲げて、柏崎刈羽原発の再稼働を押し通そうとしていることだ。世界に例のない、巨大な原子炉を7つも持つこの原発の運転に従事する「資質」を、東電が身に付けたとはとても思えない。

第2は、政府・経済産業省が福島第一原発の核燃料デブリの取り出しで廃炉費用が膨らむことなどを理由に、国民負担の拡大を前提にした新たな東電支援策を作ろうとしている問題だ。総支援額を現在のほぼ2倍の20兆円前後に増やして、追加分は電気料金(託送料金)に上乗せ、幅広く国民から徴収する案が有力という。

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まず、冷却ポンプ停止問題を整理しよう。福島県沖を震源とするマグニチュード7.4の地震が発生したのは、11月22日午前5時59分のことだ。報道によると、福島第二原発3号機の使用済み核燃料貯蔵プールは水温が29.3度に保たれ、2544体の燃料が保管されていた。

そして、津波到達の20分前に当たる6時10分ごろ、燃料ポンプが突然自動停止した。地震の揺れに伴い、水位が瞬間的に低下してセンサーが反応したとみられている。

筆者の取材に対して、東電の広報は、「報道機関向けに配信している一斉メールの発信が8時8分、ホームページに『地震情報』を掲載したのが8時15分で、2時間前後を要した」と公表に手間取った事実を認めた。

実は、報道機関向け一斉メールの発信の21分前の7時47分に、日本経済新聞がインターネットで「菅義偉官房長官が記者会見し、福島第二原発3号機において、使用済燃料プール冷却装置が停止していることを明らかにした」と報じている。

この情報は、原子力規制庁を経由して官邸に伝えられたものとみられるが、政府高官が記者会見をして、それを聞いた記者が記事を書くにはそれなりの時間が必要だったはずだ。

そんな中、記事には長官のコメントとして「状況を確認中だ。ただちに放射能漏れや燃料の温度が上がるものではないと報告を受けている」と必要なポイントが盛り込まれている。筆者は見ていないが、NHKもこの官房長官会見を中継したと聞く。

一方、河北新報によると、東電は、自治体へのファックス連絡をポンプ停止の55分後(7時5分過ぎ)に行っている。

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