アメリカ 大統領選
トランプ・ショックで「学級崩壊」!? ニューヨークでいま何が…
アラサー女子のNY留学日記
岡田 育 プロフィール

国がどうなろうとも…

一方で、もしクラスメイトがいなければ、果たしてこの選挙結果をどう受け止めていただろう? とも考える。

米国への転居が決まってすぐに大学へ通うことを決め、34歳にしてゼロから英語の受験勉強を始めた。新環境で新生活を始めるならば、どこかコミュニティに属さなければ、と危機感を抱いたからだ。

アパートメントに引きこもってウェブで日本語の文章を読み書きし、日本人の輪の中で暮らすだけなら、東京に住むのと何も変わらない。同じ価値観を共有できる場所、新しいつながりが生まれる場所を、自分で探して見つけなければ、という動機が一番で、勉学への意欲は二の次だった。

学長からのメールは、まだ続いている。

先日は、新大統領が移民政策の一環としてJ1ビザ廃止を計画しているという話について、「現時点では国から何の通告もないし、今までもこれからも変わらない。世界有数の多文化主義の拠点であるニューヨークにおいて、本学は多様性と創造性、それが生み出す批判的思考とを賞賛する」と書かれていた。

国がどうなろうと学生ビザの面倒は看てやる、とも読める内容で、結構ギリギリの線を攻めていると思う。

「この大学で学ぶ時間は、本当に、何物にも代え難い、貴重で意義のあるものなのです」と結ばれるこうしたメッセージが、アンドリュー・クオモ州知事やビル・デブラシオ市長の声明より、いつも半歩ほど早くに届く。立場の違う友人と政治の話をすることさえ憚られる空気の中で、共同体の思いをはっきりと言語化したメールが受信箱に届く。

「大学に入って、よかったな」——まさかこんなかたちでそう実感することになるとは思わなかったが、これもまた一つ、アメリカを、ニューヨークを、ある角度から眺めるための「窓」なのである。

岡田育(おかだ・いく)文筆家・大学生。1980年東京都生まれ。慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科修士課程修了。中央公論新社で婦人雑誌と文芸書籍の編集に携わり、2012年に退社後、エッセイの執筆を始める。著書に『ハジの多い人生』(新書館)、『嫁へ行くつもりじゃなかった』(大和書房)、二村ヒトシ・金田淳子との共著『オトコのカラダはキモチいい』(KADOKAWA)。2013年よりCX系情報番組『とくダネ!』コメンテーターを務めたほか、WEB女子同人サークル「久谷女子」メンバーとしても活動中。2015年夏よりニューヨーク在住。現在はニュースクール大学傘下のパーソンズ美術大学でグラフィックデザインを学んでいる。
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