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年金のプロが伝授!「個人型確定拠出年金」はこんなにおトク
知らねば損する、とはこのことだ

2017年1月から、公務員や従業員、主婦も加入できるようになることで話題を呼んでいる個人型確定拠出年金。やったほうがいいいのか、どうやればいいのか、そもそも個人型確定拠出年金ってなんなのか……。そんな疑問に、「年金のプロ」と呼ばれる、社会保険労務士の井戸美枝氏がお答えします!

年金は破綻しない。が…

少子高齢化が進む日本では近い将来、年金は破綻する----

そう考えている方もいらっしゃるかもしれません。

たしかに国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口」によると、2060年には2.5人に1人が65歳以上となると見込んでいます。年金の財源が厳しくなるのは間違いありません。

ですが、公的年金が破綻する可能性は限りなく低いでしょう。なぜなら日本の公的年金は「賦課方式」で、あなたが納めた保険料は将来の自分のためではなく、現在の受給権者(お年寄り)が受け取る仕組みだからです。

また、国民年金の財源の半分は税金から補填されています。このため、国の財政が破綻しない限り、年金がゼロになることはまずないのです。

とはいえ、2014年に発表された厚生労働省の「将来の公的年金の財政見通し」におけるもっとも悲観的なケースでは、約30年後の給付水準は現在の約4割減まで落ち込み、年金の積立金が枯渇する可能性が指摘されています。

つまり、年金制度そのものは破綻しないけれど、受給額の減額は免れないし、公的年金に頼った老後設計はあてにできない。そう考えておいた方が良さそうです。

だったら払い損になる可能性のある年金には加入しないで、民間の金融機関が運営する個人年金の方が安心ではないか。そう考えたとしたら、それも正しいとは言えません。

一般的に「個人年金」は加入者が民間の保険会社などに保険料を支払い、一定の年齢に達すると年金という形で受け取る商品です。保険会社は加入者から集めた保険料を運用して、将来の支払いを準備します。

ただし、支払った保険料のすべてが運用に回るわけではなく、「純保険料」と「付加保険料」に分かれます。「付加保険料」は保険会社の経費などに回されるので、運用されるのは「純保険料」のみ。つまり、「保険料を支払うごとに手数料がとられている」と考えてください。

国民年金とは違い、自分で払った分が自分の年金になりますし、保険会社が破綻でもしない限り契約時の約束が守られる、という点では有利なのですが、大きな弱点があります。

多くの「個人年金」は、契約段階で「保険料を支払う期間」と「年金として受け取る期間」が定められているため、将来インフレが起こると、受け取る年金が実質的に目減りしてしまう危険があるのです。この危険を避けるためにも、個人年金だけに頼るのは止めた方が良いでしょう。

このように、公的年金や個人年金だけでは、老後の生活費を支えるのは難しいのです。

そこで今、注目されているのが「確定拠出年金」です。

確定拠出年金についてはメリット・デメリットがありますが、有効な選択肢だと言えます。知っているか知らないか、では、知っておいた方が良いのは間違いありません。今回は、その仕組みと活用する上での注意ポイントを紹介していきたいと思います。

怖くない「確定拠出年金」

確定拠出年金とはいったい何なのかを知るために、日本の年金制度を簡単におさらいしておきましょう。

日本の年金の仕組みを建物にたとえると、1階部分にあたるのが、20才以上のすべての国民が入る「国民年金」。サラリーマンや公務員が加入する「厚生年金」が2階部分。さらに企業によっては、3階部分に「企業年金」が加算されることもあります。

確定拠出年金は、国民年金や厚生年金などの上乗せとして、受け取る年金を増やすための制度です(国民年金の保険料を納めていない人は加入できません)。

また、確定拠出年金には、企業が退職金制度として掛け金を出す「企業型」と、自営業者や企業年金がない従業員が自分で掛け金を出す「個人型」があります。2017年1月からは公務員や専業主婦、企業年金のある従業員も個人型に加入できるようになります。

個人型、という制度が導入されることで、いま、確定拠出年金が大変注目を集めているのです。以下で、新たに利用者が増える個人型を中心に、確定拠出年金について説明しましょう。