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物語が完璧すぎ!? 朝ドラ『べっぴんさん』どこまで本当の話なのか

モデルは子供服メーカーの創業者

お嬢様が戦災で没落。そこで得意の洋裁を売り物にしようと奔走し、後に大企業に。……そんなデキすぎたストーリー、本当にあり得るのか? 史実とドラマの関係を知れば朝ドラはますます面白い。

内気なヒロイン

「なんか……、なんかな……」

自分の気持ちを思うように口に出せない、すみれ(芳根京子)。連続テレビ小説『べっぴんさん』では、おてんばで明るい従来の朝ドラヒロイン像からかけ離れた主人公が注目を集めている。

 

神戸の裕福な家庭に生まれ育った刺繍好きの坂東すみれ。しかし、太平洋戦争で屋敷も財産も失い、最愛の夫も出征したまま行方が知れない。赤子を抱えて生きていくために、洋裁の腕を生かして、ベビー用品を扱う手芸店を志す。

すみれには、モデルとなった実在の人物がいる。坂野惇子―日本中の母親から支持を集める子供服ブランド「ファミリア」の創業者である。著書に『ファミリア創業者 坂野惇子』がある作家・中野明氏は言う。

「ファミリアは、美智子妃殿下が浩宮様を出産する際に子供服をお求めになったことでも知られる超一流メーカー。その歴史を紐解くとまさにドラマになるようなエピソードが多数あります。

同社は'48年に4人の女性が創業しました。坂野惇子、田村枝津子と彼女の義姉・光子、そして村井ミヨ子。戦後の混乱期に女性が事業を興すことだけでも稀ですが、全員が主婦、しかも筋金入りのお嬢様だったのです」

惇子は佐々木営業部(現株式会社レナウン)の創業者で貴族院議員を務めた佐々木八十八を父にもつ。惇子の甲南高等女学校時代の同窓生だった枝津子の父は、ゴムベルトを扱う阪東調帯護謨株式会社(現バンドー化学株式会社)の社長・榎並充造。

義姉・光子の父も貴族院議員で、洋反物商社・神田屋田村商店(現田村駒株式会社)の創業者・田村駒治郎だ。また、ミヨ子の父・中井栄三郎は日綿實業株式会社(現双日株式会社)の東京支店長を務めた経歴をもつ。

名だたる良家の令嬢たちに声をかけ、商いを始めた惇子。ドラマでは控えめで引っ込み思案な性格だが、実際に、あんなに大人しくては創業などできないのでは……と心配になってしまう。前出・中野氏は続ける。

「『勉強でもスポーツでも先頭を走ろうと思ったことはありません』とご自分で書かれているように、先頭に立つタイプではなかったようです。結果的にはファミリアのトップとして押し出されるが、それは本人が率先してそうなったわけではなく、むしろ『2番でいい』という謙虚な方。だからこそ周りが『なんとかこの人を支えよう』と奮起したのです」

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