金融・投資・マーケット
トランプノミクスの「熱狂」はいつまで続くか?
その経済政策の光と影

11月8日の米国大統領選以降、トランプ次期大統領の経済政策への期待から主要株式市場が堅調な展開となり、ドルが主要通貨に対して堅調に推移している。

特に、ドル/円は9日の東京時間、トランプ大統領の誕生への懸念から101円20銭まで下落(ドル安、円高)したのち、18日には110円台後半まで円安が進んだ。これは6月初旬以来の円安水準だ。

こうした動きを見ていると、トランプノミクスは世界経済の福音になるとの期待が高まっているようだ。実際、エコノミストや市場参加者の間でも、トランプ氏の経済政策を評価する向きは増えている。それを受けて、米国の株式市場は史上最高値を更新し、強気ムードが漂っている。

ただ冷静にトランプ氏の経済政策の特徴を吟味すると、明確に、光(プラス)と影(マイナス)に分けることができる。

市場はトランプノミクスの光の部分ばかりに注目し、期待先行で、重厚長大産業を中心にトランプノミクスの恩恵を受ける企業の株価が上昇している。その流れがいつまで続くかは冷静に考えるべきだ。

 

トランプノミクスの光と影

トランプ次期大統領の経済政策=トランプノミクスの光の部分は、財政出動や減税を通して米国経済の底上げが期待できることだ。

その一例としてトランプ氏は5000億ドル(55兆円)、あるいはそれ以上のインフラ投資を念頭においている。確かに、この取り組みが実現すると、金融緩和をもってしても需要が低迷してきた世界経済の成長期待は高まるだろう。

インフラ投資が実行されれば、完全雇用に近づく米国労働市場では需給が一段と逼迫するだろう。それが賃金上昇につながり、インフレ期待も高まると考えられる。そうした展開を見込んで、金利先高観からドル買が買われ、円やユーロは下げている。

そして、インフラ投資期待に支えられた米国の株価上昇は、主要先進国や新興国にも波及し、世界的にも株式市場は堅調だ。

一方、トランプ氏は保護主義的な通商政策を重視し、中国などからの輸入品に高関税をかけるとしている。これはメキシコで生産活動を行ってきた米自動車業界、中国でiPhoneの生産を行ってきたアップルなど、米国企業の経営に影響するだろう。

そうした動きが現実味を帯び始めると、グローバル化が進む中、米国を軸に進んできた経済連携や自由貿易協定も行き詰まるだろう。米国だけでなく世界経済の円滑な運営にも支障が出るはずだ。

やや長めに考えると、米国が保護主義に傾倒することは、世界経済の不安定感を高めるリスク要因の一つだ。各国も自国産業の保護や需要の囲い込みを重視して保護主義に傾くだろう。

そうなると、通貨切り下げ競争や貿易競争が激化し、金融市場に動揺が広がる可能性がある。トランプ氏の政治手腕や、議会、国際社会との関係構築に未知の部分が多いだけに、こうしたリスクには注意すべきだ。

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