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アメリカ

レーガン大統領元側近が断言「トランプでも、日米同盟に変化ナシ!」

「米国の最も重要な同盟国は日本です」

「ググってみて、驚いたよ。正直言って、オバマケアには頷けるところがたくさんあったんだ。オバマケアをググろうとは何度も思ってはいたんだが、駆け回っていたから時間がなかった」

劇的な勝利からわずか一週間で「変容」を見せたトランプ新大統領。さんざんコケにしてきたオバマケアについても、当選後には「なかなかいいじゃないか」と発言するなど、全米を振り回している。

そんなトランプに、レーガン大統領らしさを見出すエキスパートがいる。レーガン政権時代、商務省審議官を務めた米国経済戦略研究所所長のクライド・プレストウィッツ氏だ。選挙戦では、レーガン元大統領の受け売りともいえる”Make America Great Again”を連発してきたトランプだが、彼は、”第二のレーガン”となれるのか? 『JAPAN RESTORED』の著者で、日本にも精通しているプレストウィッツ氏に話を聞いた。(在米ジャーナリスト/飯塚真紀子)

ヒラリーよりよっぽど穏健ですよ

――今回のトランプ氏勝利について、率直にどう感じていますか?

私は、ずっとトランプが勝つと思っていました。私が住むワシントンDCやあなたが住むロサンゼルスではヒラリー氏優勢でしたが、それらはアメリカを代表している地域ではないからです。

ワシントンDCは、不景気というものを体験したことがありません。政府が成長し続けているため、経済的衰退が起きなかった。ここに住んでいる人たちはリセッションの痛みを感じていないのです。ロサンゼルスも、アメリカでは富裕層が多く住む地域で、人々の収入は経済の影響をあまり受けていません。

しかし、都市部以外に住む人々にとっては、この10年、経済的に苦しい状態でした。平均的労働者の収入は、この4年、増加を見ませんでした。反対に、医療費はどんどん上がっていきました。今、ベビーブーマーがどんどん引退していますが、彼らには貯蓄もないのですよ。

左がプレストウィッツ氏【PHOTO】gettyimages

ミシガンやウィスコンシン、オハイオ、ペンシルバニアなどの州は経済の影響、特に、中国との国際貿易の影響を受けたのです。その状況を考えると、トランプが勝つ可能性はあると思っていました。

――日米の関係がどうなるのかは、やはり気になります。まず、貿易関係はどうなると予測されていますか?

トランプ自身、どうしたらいいかまだわかっていないのではないでしょうか。トランプはTPP成立を追い求めないでしょう。安倍首相はTPPを頑張って推進してきたと思うのですが、日本にとっては失望する結果に終わることになると思います。

ただそれによって、日本に大きなマイナスのインパクトがあるかというと、それは疑問です。いろいろな予測をみても、TPPは、日本のGDPの成長にそれほど大きい影響を与えることを指し示していません。TPPの失敗は、日本人に心理的にはインパクトを与えるかもしれませんが、経済的に影響を与えるとは思えないのです。

 

また、輸入関税も、中国製品には課されると予想されますが、日本の製品に課すとは思えません。特に、大半の日本車は、今、アメリカで製造されていますからね。トランプはNAFTA批判も行ってきましたが、大統領は独裁者ではないので、やれることには限界があります。特に、議会の賛同が必要なので、突然NAFTAを廃止にすることなどできないのです。

――防衛問題についても、トランプ氏は刺激的な発言を連発しています。日米防衛関係については、どうなると予測されますか?

まず前提として、私はヒラリーの方が、トランプよりもタカ派だと思っています。ヒラリーはイラク戦争を支援しましたし、リビア攻撃に関しては、間違いなく彼女に責任があります。オバマ大統領にも、ヒラリーはシリアに軍隊を送るように強く勧めました。

また、彼女の演説を聞くと、対ロシア姿勢も強硬だと感じました。国務長官時代はベトナムを訪問して、南シナ海で中国勢力が優勢になるのを食い止めると主張していました。一方、トランプはロシアとうまくやっていくと言っている。どこまで真剣に受け止めるかという問題はありますが、少なくともヒラリーより対立的な姿勢ではないのは明らかです。

では、日本との関係はどうか。第二次安倍政権になってから、日本は一貫して防衛能力を強化しています。フィリピンやベトナム、インドとも同盟システムを構築しようと交渉している。トランプは、それを支援するために力を注ぐと思います。アメリカは、日本はもっと強い同盟国になってほしいと考えているのではないでしょうか。

かつて、知日派としてならした米上院議員の大物、マイケル・マンスフィールドが駐日米国大使を務めたことがありました。彼に会う度、聞き飽きるほど「日米二国間関係が最重要だ」と主張していました。アメリカが、もし今、1カ国だけ同盟国に選ぶとしたら、どの国を最重要だ考えて選ぶと思いますか? 

―日本、ということでしょうか……?

私が生きてきた歴史の中では、アメリカにとって最重要な同盟国は、長い間、イギリスでした。しかし、イギリスは今、とても弱体化しています。こんにち、その答えは、日本にあると思います。そして、もし、トランプが日本を最も重要な同盟国だと考えるなら、彼は日本には強くなってほしいと願うでしょう。

ただ、米軍基地問題については、とても複雑ですね。これはアメリカだけの問題ではなく、日本の意志も重要になってくるのです。沖縄はもちろん、他の島も基地を置きたくないと考えているので、日本がどうしたいかをはっきりさせねばなりません。トランプは「アメリカを再び偉大にする」と言っているので、すぐに日本での軍隊規模を縮小させることになるとは思いません。