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トランプ政権誕生を大歓迎したプーチン、習近平、そして金正恩
嗚呼、高笑いが止まらない

ロシア議会に拍手が起きた

「下院議員の皆さん、いまから3分前に、ヒラリー・クリントンが敗北を認め、1秒前にドナルド・トランプが、次期アメリカ大統領としてのスピーチを始めました!」

11月9日、ロシア下院議会で、与党・統一ロシア党のニコノフ議員が叫ぶと、議会は中断。450人の下院議員が一斉に起ち上がって、拍手喝采となったのだった。

ロシア・セボードニャ通信社のコツバ・セルゲイ東京支局長が語る。

「われわれの同僚記者が下院議員たちを取材しましたが、『これで世界平和のビッグ・チャンスが訪れた』『トランプはビジネスマンで政治経験がないから、ロシアがしっかり支えてやらないと政権が揺らいでしまう』などと、おおむね好感をもって受けとめられています。

選挙中、アメリカのエスタブリッシュメントやマスコミは、一方的にクリントン候補に肩入れし、ロシアを悪者扱いした。そういう経緯もあって、多くのロシア人が、トランプ候補に勝ってほしかったのです」

実際、アメリカ東部時間の11月9日深夜2時49分、トランプ候補が「勝利宣言」を行うと、真っ先に祝電を送ったのが、ロシアのプーチン大統領だった。

 

〈ロシアとアメリカの現在の危機的な状況の打開に向けた、トランプ新大統領の取り組みに、大いに期待している〉

プーチン大統領とトランプ氏とは、互いに面識もないが、早くも、まるで旧友のような雰囲気だ。

新著『プーチンの国家戦略』を上梓した未来工学研究所の小泉悠客員研究員が解説する。

「周知のように現在ロシアは、2年前のクリミア併合で欧米から経済制裁を喰らっています。そんな中、トランプ新政権になれば、ウクライナ問題でアメリカとの妥協の余地が生まれ、欧州でのロシア向けの軍事力配備も緩和されるのではという期待感があるのです」

モスクワから送られてくる映像を見ていると、レストランで市民がウォッカで乾杯したり、トランプ氏の写真を掲げて街を練り歩いたりと、むしろアメリカ国内よりも盛り上がっているようにさえ映る。

小泉氏によれば、プーチン政権は現在、トランプ新政権の国防総省人事を、固唾を呑んで見守っている。

「ロシアが最終的に狙っているのは、自国の勢力圏とみなす旧ソ連諸国に、欧米の影響力を入りこませない体制を構築することです。今後はその目標に向かって、トランプ新政権に接近していくでしょう」(小泉氏)

こうした米ロ両大国の雪解けムードは、いままさに水面下で北方領土問題の交渉を行っていて、12月のプーチン大統領の訪日を準備している日本にとっても、悪い話ではない。これまでは欧米諸国から、「日本はロシアとの友好に先走りすぎだ」との批判が上がっていたからだ。

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