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アメリカ 政治政策 防衛・安全保障
トランプ大統領誕生の絶望と希望〜結局、日米同盟はどうなるの?
日本が「得すること・損すること」

安倍首相の第六感

「これはアメリカ発の新たな『9・11』テロ事件だ……」

「夏にイギリスがEUから脱退を決めた時の50倍の衝撃だ……」

「ベルリンの壁が崩壊して27年、新たなメキシコの壁ができてしまう……」

11月9日、東京・霞が関の外務省、財務省、経産省などでは、アメリカ大統領選の開票が進むにつれて、ゲッソリした表情と溜め息が、各所で見られた。

その頃、首相官邸の主である安倍晋三首相は、癇癪を起こしていた。外務省の杉山晋輔事務次官、石兼公博総合外交政策局長、森健良北米局長らを次々に官邸に呼びつけては、当たり散らした。

「一体どうなっているんだ!外務省は『ヒラリー勝利で間違いありません』と、ずっと言い続けていたではないか!話が違うよ。TPP(環太平洋パートナーシップ協定)や日米同盟は、この先、どうなってしまうんだ?一刻も早くトランプと直接話ができるよう手配してくれ」

本誌前号で書いた通り、昨年6月にトランプ候補が出馬宣言した時、安倍首相には特殊な第六感が働いたようで、「この男と早くパイプを作っておくように」と指示している。

ところが外務省は、「あんな人は政治経験もなく、泡沫候補ですから」と、首相に進言し続けてきたのだ。

 

首相官邸関係者が憤る。

「総理が9月の国連総会に合わせて訪米した際にも、外務省は『ヒラリーだけに会ってもらえばいいですから』と進言し、総理はテレビカメラの前で彼女と派手に握手した。そして、『両国の揺るぎない同盟関係を、今後一層、発展させていきたい』とヒラリーに言わせたことで満足していた。

しかし総理は、『どうしてもトランプの側近とも会いたい』と主張して、ジャパン・ソサエティーのロス会長と面会したのだ。

その後、10月に、トランプ陣営のキーパーソンが来日した時にも、外務省は『ヒラリー陣営が嫌な顔をしますから』と言って、暗に無視するように進言した」

キーパーソンというのは、アメリカ陸軍出身で、'12年から'14年まで国防情報局長を務めたマイケル・フリン氏である。日本のサイバーセキュリティ会社の招待で来日した「一民間人」との立場で、10月11日に自民党本部で、アメリカのサイバーセキュリティ制度について講演している。

首相官邸関係者が続ける。

「この時は、自民党非主流派の石破茂元防衛相や、民進党の長島昭久元総理特別補佐官らと会っていた。さすがにそれだけではまずかろうということで、結局、菅義偉官房長官に、こっそり会ってもらったのだ」

フリン氏をよく知る元防衛庁情報本部長の太田文雄氏が解説する。

「トランプ氏は、11月9日に行った勝利宣言でも、真っ先にフリン氏の名前を挙げて、その貢献を称えました。そのことからも、来年1月に発足するトランプ新政権で、フリン氏はホワイトハウスの安保担当補佐官に就任するものと思われます。

フリン氏は元陸軍中将で、中東の専門家。残念ながら、日本や東アジアのことは素人です。そのため日本政府としては、一刻も早くフリン氏とパイプを築き、日米同盟の重要さをトランプ氏に進言してもらう必要があります」

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