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お清めに鰹節や米ぬか!? 地域によって葬式はこんなに違う
現代日本に残る風変わりなしきたり

すでに骨になっていた

「故人のお顔を拝ませてもらおうと思ったら、もうお骨になっていてビックリしました」

葬儀は日本各地でしきたりや風習が異なり、地域色が濃い。どこでも同じと思っていた火葬のタイミングも、実は地域によって異なっている。

明治時代後期、土葬から徐々に移行した当初は、お葬式の後に火葬をする「後火葬」が圧倒的に多かった。しかし最近では、全体の約4割がお葬式の前に火葬を済ませる「前火葬」になり、北海道や東北地方などでよく見られる。

北国の場合、雪深いので、冬に人が亡くなってもお葬式に参列できない人が多い。そこで、まずは火葬をしてしまい、春が来てから改めてお骨でお葬式を行う。一方、暑い地方でも遺体が傷みやすいため、前火葬になったところがあるようだ。

お葬式に参列した後のしきたりにも驚かされる。

 

式の帰りに家に入るとき、玄関先でお清めの塩をかける風習は、全国で広く見られる。だが、栃木県の日光などの一部地域では、お清めの塩と一緒になんと「鰹節」をかけるという。また、石川県では「米ぬか」を使用している。

そもそも「お清め」という考え方は仏教にはなく、死を穢れとする神道が元。『古事記』にある夫婦の神様、イザナギとイザナミについての記述が由来となっている。

妻・イザナミの死を悲しんだイザナギは、黄泉の国まで彼女に会いに行く。地上に戻ったイザナギは黄泉の国の穢れを落とすため筑紫の阿波岐原で海水に浸かり、禊をしたのである。

ただ、お清めは塩に限らない。神棚に水、酒、塩、米、野菜、鯛など様々なものを供えるように、神道では、塩だけではなく酒食にお清めの力があるとされる。鰹節や米ぬかにも、穢れを除去する効果があるのだ。

同様に、関東では精進落としのことを「お清め」と呼び、大勢の人間が集まって、酒を飲み、食事をすることも穢れを落とす習俗のひとつ。杯を片手に昔の思い出話に花を咲かせれば、故人もきっと浮かばれるだろう。(安)

週刊現代』2016年11月26日号より