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タレントを支配する巨大利権「テレビCM」のしくみ
「ザ芸能界 TVが映さない真実」第6回

「国民的」という枕詞を手にするためには、CMに出演することが欠かせない。突然見かけなくなれば、すわ「干された」「消された」と憶測が飛ぶ。芸能界と広告界が生み出した、巨大権力のしくみとは。

(*前回「能年玲奈が『のん』になって得たもの失ったもの」はこちら http://gendai.ismedia.jp/articles/-/50166 連載第1回はこちら http://gendai.ismedia.jp/articles/-/49869

売れるも消えるもCM次第

テレビコマーシャル(以下CM)は、タレントを全国民に認知させ、売り出すという戦略の上できわめて重要である。時にそれはドラマ出演やヒット曲を凌ぐ効果をもたらすこともある。成功すれば、タレントと芸能プロダクションの関係性までも大きく変える。

例えば、SMAPだ。

 

SMAP以前、ジャニーズ事務所の所属タレントと契約する企業は、若年層をターゲットとした菓子メーカーなどに限られていた。そんな中、SMAPは'91年にパナソニックの商品CMに出演、'95年にはNTTの企業イメージCMにも起用された。

広告業界でパナソニックやNTTは「ナショナル・クライアント」と呼ばれる。全国規模で販売促進、宣伝を行う十分な予算を持った大企業のことだ。また、商品を前面に出す商品CMと違い、企業イメージCMへ起用されることは、タレントのステイタスである。

ナショナル・クライアントの企業イメージCMに起用されたSMAPは、単なる「少年アイドル」の範疇から抜け出し、ジャニーズ事務所内で圧倒的な存在感を持つようになった。

また前回、前々回取り上げた女優・能年玲奈(のん)はNHK連続テレビ小説『あまちゃん』で主演を務める前、「カルピスウォーター」の商品CMに抜擢されている。これは彼女が所属していたレプロエンタテインメントが、スポンサー企業に能年を起用するように強く働きかけたためだった。

レプロは、社長の本間憲が自らクライアントに営業をかけ、自社の所属タレントを継続的に使ってもらうという戦略をとっている。グリコなどがその一例である。CMは、芸能プロダクションの「力」を見せつける場でもあるのだ。

それだけに、CMは期せずして、あるタレントや俳優、女優を世の中から「消し去る」役割をも果たしてしまうことがある。出演者が不祥事を起こした際の「放送自粛」によって、である。

記憶に新しいのは、今年はじめにミュージシャンとの不倫が発覚し、すべてのCM出演枠がなくなったタレントのベッキーだろう。当時、ベッキーは10本のCMに出演していたが、春にはクライアント全社が打ち切りを決定。

現在、彼女のCMを見ることはない。この不祥事に際して、総額4億円もの違約金が発生した、とも噂されている。

また、元モーニング娘。の矢口真里の場合は、今年3月から放送された日清食品の「カップヌードル」のCMで、自身の不倫騒動を「自虐ネタ」として取り上げたことが視聴者の不評を買った。同社には苦情が殺到、CMはほどなく打ち切りになった。

このような情報は芸能マスコミの報道にもとづいて、いわば「都市伝説」のように語られがちである。しかし、芸能プロダクションも一企業体であることは、これまでの連載でも繰り返し報じてきた通りだ。そして、CMもまた、数多くの企業や組織がかかわり、法と契約にもとづくれっきとした「ビジネス」であることは言うまでもない。

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