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「米中新秩序」到来!日本はついに中国との関係を見直す時を迎えた
対抗ではなく、協調路線でいくしかない

中国人インテリ層の反応は?

「トランプ大統領誕生」――11月9日のアメリカ発の衝撃波は、アジアの2大国、日本と中国を、ともに激震させた。

だが、その波動の伝わり方は正反対で、日本には「危機」として伝わり、中国には「機会(チャンス)」として伝わった。早い話が、日本は悲しみ、中国は喜んだのである。

まず、トランプ大統領誕生を受けて、霞ヶ関の官庁街を取材すると、日本の官僚たちから聞こえてくるのは、怨嗟や呻き声だった。

「これは、アメリカ発の新たな『9・11』テロ事件だ。2001年の時はアメリカの外からテロがやって来たが、15年経った今回は、全米で内部から地雷が炸裂した。しかもその結果、過激派集団は、ホワイトハウスの『占拠』に、まんまと成功してしまったのだ……」

「夏にイギリスがEUから脱退を決めた時は、『これで世界が憎しみ合う暗黒の時代に逆戻りするかもしれない』と、強い衝撃を受けた。だが今回は、夏の50倍の衝撃だ……」

「ベルリンの壁が崩壊して27年、21世紀は『壁のない時代』になるかと思っていた。だがこれで、『メキシコの壁』ができてしまう。世界は新たな『壁の時代』に入った……」

私は普段、約100人の中国人のインテリたちと、「微信」(WeChat)を使って交信している。だが彼らとのやりとりで、このような悲観的な内容のものは、ただの一本としてなかった。返ってきたのは、こんなメッセージだ。

〈「特朗普」(トランプ)大統領誕生は、アメリカ版の文化大革命だ。怒れるアメリカ人民が蜂起して、エスタブリッシュメントや既得権益者たちを追放したのだ。

「特朗普」は、言ってみればアメリカの毛沢東主席だ。だから「毛沢東の生まれ変わり」と言われる習近平主席とは、蜜月関係を築けるだろう。偶然だが、二人は誕生日も1日違いだ(トランプ氏が6月14日で習近平主席が6月15日)。

特朗普主席万歳! 美国(アメリカ)人民万歳! 造反有理(造反には理が有る)万歳! 〉

〈 特朗普は商人だろう? 商人が、東洋で一番カネを命と考える中国人と波長が合わないわけがない。これからの時代は、政治がビジネス化していくので、まさに中国向きの時代と言える。だからビジネスライクに『你好我好』(両者ともに満足)の関係を築けば、特朗普大統領は中国を、最大の味方と思うようになるだろう。

ちなみに、大統領選挙で特朗普の陣営が使っていた大量の赤いキャップは、すべて中国浙江省義烏で作られたものだった。また、中国で「特朗普」関連の商標を確認してみたら、彼はすでに80数種類も登録済みだった 〉

〈 特朗普の当選で、世界の株価は乱高下しているが、人民元は高くなった。年初から、どうやっても人民元安が止まらず、中国の金融当局を悩ませていたが、特朗普が一発で正してくれた。大統領に就任する前から、期待が持てる男だ 〉

〈 今回の大統領選挙は、金融業界をバックにつけた希拉里(ヒラリー)と、製造業界をバックにつけた特朗普との戦いだった。その結果、製造業界側が勝ったのは、アメリカがまだ健全だという証だ。同時に、金融大国ではないが世界一の製造大国である中国に、大きなチャンスがあるということを意味している 〉

〈 特朗普は、自分で金儲けしてから、そのカネを使って最高権力を掴もうとした。普通の政治家は、希拉里もそうだし、中国の多くの政治家もそうだが、金持ちになりたいから、その手段として権力を掴もうとする。その点でも、特朗普は見上げた男だ 〉

〈 あのニューヨークのトランプタワーを見てみろ。あれこそ「金光閃閃」という中国人の理想郷を体現しているではないか。だから世界中の人々がニューヨークを訪れると、自由の女神像へ行くが、中国人だけは真っ先にトランプタワーの前へ行って写真を撮る 〉

他にも挙げていけばキリがないが、中国人がトランプ大統領に、いかに期待感を膨らませているかが、ひしひしと伝わってくる内容だった。そしてそれは、「中南海」(習近平政権)とて同様なのである。

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