金融・投資・マーケット 世界経済
トランプ製ドル高相場の寿命は、そんなに長くない?
その経済政策がはらむリスク

11月8日の米大統領選挙にて、まさかのトランプ大統領が誕生した。

9日のアジア時間、開票が進むにつれてトランプ氏の優勢が伝わると、外国為替相場を中心に先行きへの不透明感が意識され、一時、急速にリスクオフが進んだ。これは“トランプショック”というべき市場の反応だった。その後、市場はトランプ氏の経済政策を評価し、株式市場が上昇、ドルも円やユーロに対して値を戻した。

“トランプ相場”というべき市場の反応は、トランプ次期大統領の政策が世界経済に大きな影響を与えることを示している。同時に、市場がトランプ氏当選に備えていなかったことの裏返しでもある。それに伴い、新興国市場は相当に混乱している。

大統領選挙前、多くの投資家がトランプ大統領の誕生を懸念していただけに、株価、ドル高がどの程度続くかは慎重に考えたほうがよい。

今後、注目すべきはトランプ氏の調整能力だ。2017年1月20日、同氏は正式に米国の大統領に就任する。それまでに、閣僚人事や上下両院で過半数を獲得した共和党指導部との関係構築など、大統領としての調整能力が問われる。

トランプ氏が各方面との調整をスムーズに進めることができないなら、早い段階で政権への懸念は高まるだろう。

 

経済政策を点検する 

トランプ氏は、財政出動、減税、規制緩和を重視している。インフラ投資を行うことで需要を刺激し、企業や富裕層向けの減税によって消費や投資を増やそうと考えている。

また、トランプ氏は金融規制改革法(ドッド・フランク法)を廃止し、金融業界の活力を高めようとも考えている。

世界経済を見渡すと、中国では過剰な生産能力の解消が急務になっている。先進国では、低金利政策をもってしても景気回復が思うように進んでいない。そのため、世界的に、需要は供給を下回っている。本来であれば、財政出動を通して構造改革を進めるべきだが、先進国を中心に財政が悪化しているため、十分な取り組みが進んでいない。

それだけに、株式市場を中心に多くの投資家は、トランプ氏の取り組みが、金融・財政政策の手詰まり感を解消し、成長をもたらすと期待しているのだろう。

こうした見方を反映し、9日、一時は1000円以上の下げを演じた日経平均は、10日に1000円以上反発した。同日の米国時間には、ニューヨークダウ工業株30種平均株価が史上最高値を更新するなど、株式市場は強気だ。

また、トランプ氏は保護主義的な通商政策を重視している。ただ、当選決定後の演説では、北米自由貿易協定(NAFTA)から脱退するなど過激な発言は控えられた。それが、市場参加者の警戒心を和らげ、株式市場の上昇を支えている部分はあるだろう。

こうした過激な発言がどのように修正されていくかは、無視できないポイントである。

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