裏社会

新橋「資産家失踪事件」ついに死体が出てきた

狙われた60歳女性は「アル中の大金持ち」

どうしてそんな場所で?

今年3月、ひとりの資産家女性が、突然失踪した。女性が持っていた土地では、複数の業者が絡む不審な取り引きが行われている。その背後には、裏社会に生息する人間たちの影もちらついていた。

その女性の遺体が、東京・港区新橋5丁目に建つ、古い家と家に挟まれた幅わずか45cmの通路で発見された。捜査関係者が言う。

「10月19日、捜査をしていた警察官が、うつぶせに倒れている遺体を発見しました。顔での身元確認が難しいほど白骨化が進んでいて、亡くなって相当の期間が経っていることがうかがえます」

無惨な姿で発見されたのは、発見現場となった家の持ち主で、今年3月に失踪していた高橋礼子さん(60歳)と見られる。遺体には外傷が見受けられず、警察は「事件性はない」としている。

が、高橋さんの死に、事件性がないわけはない。彼女は死の直前、印鑑や免許証を偽造して土地を騙し取る「地面師」に狙われていた。さらに、その死には、奇妙な点がいくつもある。

高橋さんは新橋に推定15億円超の土地を持つ資産家だった。高橋さんと付き合いのあった60代男性Aさんが言う。

「彼女は土地持ちの娘で、新橋4丁目、5丁目に複数の物件を持っていました。本人は変わり者で人付き合いが苦手。とくに20年ほど前に彼女の母親が亡くなって十数億円の土地を相続してからは、親戚付き合いも近隣との付き合いも絶ち、帝国ホテルなど高級ホテルを渡り歩く毎日で、自宅に戻ることはなかった」

そんな高橋さんが今年3月初め、「カネがない」と言ってふらりと新橋の自宅に帰ってきた。「ほとんどアル中のような状態」(Aさん)だったという。地元で町内会長を務めるBさんも言う。

「おかっぱの髪の毛に、長い間洗っていないような服を着て、ひどい臭いがしたそうです。昼間から公園でカップ酒を飲み、酒代のために、知人に『カネを貸してほしい』と頼んで回っていました」

だがその直後、彼女は突然、姿を消した。近隣では、「自宅で金目のものが見つかってまたホテル暮らしに戻ったのではないか」などとも噂されたが、その楽観的な予想を裏切って、高橋さんの遺体は発見された。

不審な点は多い。Bさんがいぶかしむ。

「彼女が消えて数週間後、私が捜索願を出し、愛宕署が高橋さんの自宅を家宅捜索したけど、遺体は出てこなかった。8月の家宅捜索でも同じ。私も彼女の家の前を歩いていたけど異臭がしたこともない。その時点では遺体はなかったはずです。

しかも通路には鍵のかかった鉄柵があった。そんなところに年輩の高橋さんが入るでしょうか。どう考えてもおかしい」

さらに彼女の死から「事件」の臭いが拭えないのは、彼女の土地を狙って地面師が蠢いていた形跡があるからだ。高橋さんは知らぬうちに自身の土地を売買されていた。Aさんが振り返る。

「彼女が自宅に帰ってくる少し前、京橋の法律事務所から『高橋さんの土地で不審な売買が行われている』と連絡があった。それで、帰ってきた彼女に『土地を売ったのか』と尋ねると、『(売買の)ハンコをついたことなんてない』と言うんです」

登記を確認すると、たしかに彼女は昨年5月に土地を「S」という会社に売ったことになっている。さらに奇妙なことに、その直前の昨年4月には高橋さんの住所が大田区に変更されているが、やはり彼女自身はこのことをまったく把握していなかった。前出の捜査関係者が言う。

「警察はいま、ある女の行方を追っています。この女がパスポートを偽造して高橋さんになりすまし、住所を変更したと見られているのです。これは印鑑証明などを偽造する地面師の手口そのもの。土地売買にもこの女を含む『地面師集団』が関わっている可能性が高い」