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地球の「異変」を阻止するために、いま私たちが考えるべきこと

原発を使うリスク、使わないリスク

ジェームズ・ラブロックは、イギリスの科学者だ。1948年に医学の博士号を取り、米イエール大学、ハーバード大学などで研究活動をした後、NASA(アメリカ航空宇宙局)に移って火星探査計画に従事した。今年97歳。「ガイア理論」の提唱者である。

ジェームズ・ラブロック氏 〔PHOTO〕gettyimages

現在の地球の大気の組成比は、窒素と酸素がそれぞれ78%、21%で、99%を占める。残りの1%弱がアルゴンで、その他はさらに微小な組成分が続く。ちなみにCO2はわずか0.04%だ。

本来ならば、この大気の組成比は、長い時間とともに変化していっても不思議はない。ところが実際には、何億年も前からあまり変わらない。これは、実に驚くべきことであるという。

この特殊性に注目したラブロック氏は、地球を一つの生命システムとして捉えることを思いつく。

「地球は、様々な種類の生命が環境と結びつくことによって、徐々に進化してきたにちがいない。そして、いろいろなダメージを受けるたびに、それらを自分で修復しながらここまできたのではないか。あたかも、意志を持った一個の生物のように!」

これがラブロック氏の提唱したガイア理論だ。ちなみにガイアとは、ギリシャ神話の女神で、大地と世界を司る地母神のような存在である。

ところが今、そのガイアに異変が起こっているとラブロック氏は言う。なんとかしなければ、取り返しのつかないことになる。

 

地球は確実に温暖化している

映画『ガイアのメッセージ』は、地球を主題にした映画だ。1年にも及ぶイギリス、アメリカ、ドイツでの取材を経て、日本で製作された。提起されているのは、異変の起こっている地球をいかにして救うかということである。

美しい地球の映像がふんだんに使われている。広々とした沼地の上を舞う何百羽もの水鳥、穏やかな波に打たれる砂浜、そして、はるか宇宙から望む妖しいまでに美しい地球……。

宇宙飛行士の山崎直子氏が、朝日に映え始めた地球、そして、夜、人間の営みを示す無数の灯に彩られた地球を存分に見せてくれる。そして言う、「宇宙から見た地球は、まるでそれ自体が生きているようだった」と。

その地球の温度がだんだん上がっていく。ついこの前までは、地球は氷河期に向かっていると主張する人たちもいた。しかし、この映画の中で、カリフォルニア大学バークレー校のリチャード・ムラー教授(NHK「バークレー白熱教室」講師)は、自らの行った綿密な調査結果を提示する。

それによれば、地球は確実に温暖化している。温暖化は人間の活動によって引き起こされているのである。そこらへんは、エネルギー問題をわかりやすく紐解いた彼の著書、『エネルギー問題入門』(楽工社)にも詳しい。

ラブロック氏も、「人類が大量の化石燃料を燃やし始めた時から、気温の上昇が始まっている」と断言する。

「もっとも、私たち人間がやっていることが地球に大きな影響を与えることはない。地球は46億年前の誕生以来、巨大な火山の噴火や隕石の衝突など、想像を絶する危険に耐えてきた。それに比べれば人間がやっていることなど何の影響もない。

ただし、それは、私たち自身や私たちと相互関係にある植物や動物には大きな影響を与える。つまり、温暖化自体は地球にとって大したことではないが、私たち人間にとっては深刻な問題なのです」

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