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「死んでは生き返る」だけのリベラルでは永遠に勝てない!
斎藤美奈子×おときた駿「リベラルの未来」

55年体制と呼ばれる、保守派とリベラル派の対立構造。その成立から60年以上が経過した今、保守派はその勢力を大きく伸ばし、一方のリベラル派は長らく苦戦を強いられている。

この現状において、リベラル派の中でも有数の論客である文芸評論家の斎藤美奈子氏、そして保守派を表明する気鋭のブロガー議員であるおときた駿氏が、相次いで若者向けの政治本『学校が教えないほんとうの政治の話』と『ギャル男でもわかる政治の話』をそれぞれ発表した。

なぜ今、若者に向けた政治の本が必要なのか。その背景には、リベラルの衰退により不均衡となった政治構造への危機感、あるいは未来の社会を担う若者への期待感があった――。

両名の対談から、現代日本を覆う閉塞感の原因、そしてそれを打破するためにわれわれにできる備えについて考えていく。

(左)斎藤美奈子さん、(右)おときた駿さん

都知事選に見る「リベラル衰退」の理由

おときた:この対談は、「リベラルはなぜダメか」というのがテーマのようですが。

斎藤:「ダメ」っていうのが前提なの?(笑)

おときた:先の都知事選に関して言えば、「リベラルがダメだった」というよりは、「鳥越(俊太郎)さんがダメだった」ということではないでしょうか。鳥越さんを擁立してしまったのは、もちろんリベラルの失策だとは思いますが。

斎藤:鳥越さんは、わかりやすかったんだよね。リベラルの候補者として。

おときた:アイコンとして成立してしまいましたからね。実際、世論調査の結果では、当初は鳥越さん優勢でした。鳥越さん31ポイント、増田さん28ポイント、小池さん16ポイント、ここがスタートだったんですよ。小池さんとはほぼダブルスコアで。

斎藤:それが、一週間でひっくり返った。

おときた:そう。ただ正直、鳥越さん人気は落ちると思っていたので、自民党にガチガチに守られていた増田さんが負けることの方が、なかなかありえないんじゃないかとは思っていたんですよね。

斎藤:おときたさんは、どうしてリベラルが勝てないんだと思う?

おときた:鳥越さんをリベラルと呼んでしまうと真っ当なリベラルの人に怒られる気もしますけど、背骨がないからじゃないでしょうか。とくに民進党。

斎藤:背骨?

おときた:ジャッジメントの根拠と言いますか。リベラルと保守の対比でよく言われることでもあるんですけど、保守には歴史や伝統といった背骨があるわけです。まあ、ときにはそれが「弁当は一堂に会して食うべし」みたいな謎の都議会のルールになっちゃうこともあるんですけど(笑)。

一方で、リベラルは良くも悪くも柔軟というか、革新しなければいけないから、そういう背骨はない、と。弁当のルールなんかは、もちろん変えればいいと思います。でも、リベラルのこれまでのジャッジメントを見ていると、重要な局面でも背骨がなくなってしまっている。だから、目先の鳥越さんにパッと飛びついてしまったんじゃないか、と。

舛添問題でも、一番姿勢が安定しなかったのは民進党だったんです。自民党に突っ込まれそうになったり、世論側についてみたり、ふわふわふわふわして。それで、最後のタイミングにだけ大きな流れに乗っかってきた。その根っこのなさみたいなものは感じますね。

 

斎藤:都議会の民進党って、基本どちらかというと与党なわけですよね。おときたさんたちが野党のポジションで。

おときた:そうです。だから、衝撃的なのは、これまでずっと民進党は都議会で自民党にくっついておいて、なんで鳥越さんのときは民進、共産、社民、生活の4党協力で都知事選をしているんだ、という。本当に勝ったらどうすんの、みたいな。

それも全然、歴史的な経緯とか振り返らないわけです。今までの都議会合戦の経緯の積み重ねから考えたら、共産党と一緒に鳥越さんを推すなんてありえない。でも、そういうことを最後の手段として選んでしまう。それも政策協定も結ばずに、ですよ? せめて結んでよ!、と思います。その姿勢が、たしかにリベラルといえばリベラルなんだけど、自由すぎるだろ!みたいな。

斎藤:私は、自分のことはもっと左翼だと思ってたの。左翼って、おかしいんだけど、小異を捨てて大同につくことが大事だと思ってた。だけども、あの顛末を見ていたら、「やっぱりこいつらバカだなあ」って思ってしまって。都知事選について“方法が悪い”と書いたんですけど、はっきり言えば候補者の選定が間違ってたわけじゃないですか。

おときた:もう、マーケティングができてないですよね。「こうやったら周りにどう思われるのか」を考えるのは政治家にとって重要な資質なのに、それを考えずに自分たちの内側の理論だけで完結して選挙をしてしまった感じがします。

斎藤:なんか、逆へ逆へ行くんだよね。わざわざ。

おときた:あれは、民進党の最大の特徴ですね。右往左往して最後に最悪の選択をする、という。

斎藤:今年の参院選に向けて、昨年の安保法制のときから野党共闘を画策してきた人たちがいるわけですよね。市民連合とか、学者の会とか、SEALDsとか。それは画期的な感じがしたわけですよ、一見ね。でも、一度画期的にしちゃうと、そこから抜けられない。その融通の利かなさが変わらないんですよね。共闘ありきになって、政策の中身は後からでいいや、って。

おときた:それで結局、こういう候補者選定になったんですよね。

斎藤:この人はここがダメ、この人はここがダメってやっていたら、何もしがらみのない候補者が来たけど、「何にもしがらみがない」んじゃなくて、「何にもない」という(笑)。