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ボクシング
パッキャオ復帰戦!フィリピンの英雄に衰えは忍び寄っているのか
好ファイトに期待

11月5日 ラスベガス トーマス&マックセンター

WBO世界ウェルター級タイトルマッチ
ジェシー・バルガス(アメリカ/27歳/27勝(10KO)1敗 )
vs.
元6階級制覇王者マニー・パッキャオ(フィリピン/37歳/58勝(38KO)6敗2分)

おなじみのフレディ・ローチ・トレーナー<パッキャオの右隣>をはじめ、陣営のサポートもパッキャオの勝利には欠かせない Photo By Mikey WIlliams / TopRank

“Buzz”らない復帰戦

パッキャオの7ヵ月振りの復帰戦のファイトウィークが始まったが、アメリカ国内でも盛り上がっているとはとても言えない。

試合まであと2日の現地11月3日の時点でも、報道はごくわずか。ビッグファイト特有の“Buzz(興奮した噂話)”はほとんど聞こえてきていない。

4月に一度は引退を発表したパッキャオだったが、舌の根が乾かぬうちに復帰を表明した Photo By Mikey WIlliams / TopRank

将来の殿堂入りは確実のパッキャオも37歳を迎え、存在感の低下は明白。それと同時に、米メガケーブル局のHBOが今回のバルガス戦の中継を見送った影響はやはり大きいのだろう。おかげで好評を博してきた「“24/7”」をはじめとする煽り番組の放送は皆無で、全米各地でもビルボード広告は見受けられない。

ある程度熱心なスポーツファンでも、今週末にパッキャオが試合をすることを知らない人も多いのではないか。

「未来を考えた上での試みだ。HBOはこれまで何度も同じことばかりを繰り返してきた。私たちはここで新しい方向性を目指し、放送席の人員や番組制作は変わってくる」

トップランク社のプロモーター、ボブ・アラムはそう語り、依然として自前のPPV中継の売り出しに意欲を見せている。
 
その言葉通り、トップランクは“ALL IN”と題したドキュメンタリーシリーズをネット上で盛んにアップ。PPV放送にはスティーブン・スミス、カリッサ・トンプソンといった人気キャスターを起用するという。

 

下降気味の人気と体力面

ただ、今回の興行がシカゴ・カブスの活躍で歴史的な注目を集めたワールドシリーズ直後に開催となったのは話題性の面で不運だった。

UFC(11月12日)、セルゲイ・コバレフ対アンドレ・ウォード戦(11月19日)といったPPV興行も背後に控えており、加えて大統領選挙の直前でもあるなど、挙行のタイミングはほぼ最悪。総合的に見て、ビジネス面での苦戦は必至だろう。

HBOのピーター・ネルソン氏が今戦の放映をパスしたことは、パッキャオの商品価値低下を物語る Photo By Louis Tinsley - Tom Hogan Photos/Golden Boy Promotions

パッキャオは過去にPPVで通算約1840万件を売り上げ、実に12億ドル以上の収益をあげてきた。米国籍ではないボクサーが、アメリカのリングでこれほどの成果を収めたことはほとんど奇跡だったと言って良い。

しかし、そんなフィリピンの英雄の商品価値も黄昏期を迎えていることは明白。今戦でのパッキャオのファイトマネーはPPVの歩合次第(バルガスは280万ドルで固定)だが、その額が久々に1000万ドルを下回っても驚くべきではないのかもしれない。

もっとも、その一方で、「バルガス戦の試合内容は期待できるのではないか」という声もファイトが近づくにつれて増えている。