過当競争で「悪徳歯科医」が急増中!金儲けのために歯を削る医者

一度抜いたら、二度と生えてこない
週刊現代 プロフィール

抜いたら元には戻らない

都内大学病院の心臓外科医が語る。

「一般の患者から見れば、医師も歯科医も同じ医者だという感覚かもしれませんが、歯科医は人材の質にばらつきがあります。そもそも医科と歯科だと国家試験も異なるし、似ているようでまったく別の職業なんです。私立系の歯学部だと裏口入学が当たり前のように行われていますしね。

もちろん良心的で腕のいい歯科医もたくさんいますが、カネ儲けのためや親のクリニックを継ぐためだけに歯医者になった人は『もっと儲かると思っていた。見込みと違う』と考え、悪質な治療で儲けることを厭わないひどい歯医者もいる」

サイトウ歯科医院の斎藤正人氏は、「私の知る範囲でも抜かなくてもいい歯を抜こうとする歯科医師がたくさんいる」と語る。

 

「私の病院にはセカンドオピニオンを求めて、全国から患者さんがいらっしゃいますが、『骨が丈夫なうちに』『いずれダメになるから今のうちでも美味しく食べられるように』とさまざまな甘言を弄して、抜歯しようとする歯科医がいる。なかには『このまま放置すればがんになるから』と、信じられないような嘘をついてインプラントを勧める医師もいるようです」

インプラントは自由診療なので価格にばらつきがあり、安いところでは1本7万円程度、高いところだとその10倍以上もする。格安のインプラントを行うクリニックは、客集めのために高い宣伝費をかけて派手な広告を打つ。

当然のことながら、治療技術や術後ケアに期待はできない。もっとも、冒頭の平井さんのように高額な治療を受けても失敗することはある。

「結局、大学病院に駆け込んでCTを撮ってもらいました。そうしたら、『下のインプラント2本が神経や神経層に当たっているため、抜かないと痛みは無くならない』と言われました。問題の歯を抜いてもらったら、嘘のように痛みが取れました」(平井さん)

前出の斎藤氏は「歯の保存を第一に考えて治療に当たっている」という。

「すべての手術を否定するつもりはありませんが、一度でも歯を抜いたら、二度と生えてこない。いたずらに抜歯するよりも、その前に何ができるかを考えないといけない」

言うまでもなく、食べることは最も大切な人生の営みの一つである。悪徳歯医者にかかってしまえば、その営みを二度と楽しめなくなる。それどころか「歯を磨くたびに涙が出てくる」(平井さん)というつらい思いをするかもしれない。後悔しないためにも、治療法と歯科医選びは充分に慎重にしたい。

『週刊現代』2016年11月5日号より