過当競争で「悪徳歯科医」が急増中!金儲けのために歯を削る医者
一度抜いたら、二度と生えてこない
週刊現代 プロフィール

ちゃんと治さず、再診させる

つまり、パイの大きさは変わらないままに、それに群がる歯科医の数だけが増加してきたのだ。その結果、東京都内では1日1件のペースで歯科医院が廃業しているというデータもある。

「患者さんが少なければ歯医者も食べていけません。収入が落ち込んでいるとか、子供が大学に入ってカネがかかるといった事情のために、やらなくてもいい治療をして、収入を確保する医者もいる。

歯科治療への報酬は出来高制です。つまり、なにか治療をしないとおカネになりません。相談や予防のアドバイスだけで終わってしまえば、初診料や再診料のみになって食べていけなくなる。加えて患者数が減っているため、患者一人当たりからできるだけ報酬を得たいという発想になるのです」(林氏)

 

現在の日本の医師数は約31万人、対して歯科医師の数は約10万人。医科(歯科を除くすべての医療)の医療費が約30兆円であるのに対して、歯科の医療費は約2・8兆円。明らかに歯科医が過剰に生み出されていることがわかる。

稲毛エルム歯科クリニック院長の長尾周格氏が、日本の歯科医療制度の問題点をこう指摘する。

「今の保険制度は歯科の診療報酬が低すぎるのです。それでやっつけ仕事で、ばんばん患者を回すか、自由診療で高額な治療をしないと歯科医はやっていけなくなっている。

私は今100%自由診療の予防歯科を行っていますが、以前、保険診療を行っていたときは、虫歯治療の8〜9割が、治療の『やり直し』でした。前の歯医者がちゃんと治療していないから、本来であれば10年、20年持つところが、1年以内に痛くなったりするのです」

歯科医が収入を上げるためによく行う、不要な治療はいろいろある。代表的なものは次の通りだ。

(1)歯石のほとんどない患者や歯周病でない人のスケーリング(歯石取り)。最近では定期健診などで歯石を取ることもあり、「半年か1年に1度は歯石を取らなければならない」という風潮が生まれている。歯石除去のリピーターは歯科医院にとって確実な収入源になる。

(2)特に問題のない詰め物や被せ物を虫歯になっていると診断して、外して詰め直したり、被せ直したりする。この手の治療はいちばん簡単で、しかも儲けになる。

(3)小さな虫歯に樹脂を詰めた際、大きな虫歯に詰めたことにして、高めの診療報酬を得る。これは診療費の不正請求にあたるが、なかなか確かめることが難しい。

(4)保険診療で入れ歯を作るという選択肢を示さず、いきなり自由診療のインプラントを勧める。

このように、経営が苦しい歯科医院はあの手この手で無駄な治療を行って、診療報酬を得ようとする。歯科には保険診療と自由診療があるが、厚労省主導の医療費削減策もあって、保険診療の報酬は低めに抑えられている。厚労省関係者が語る。

「歯科は不正請求が多いので、厚労省の指導医療官がレセプト(請求書)を厳しくチェックします。あまりに高額な治療をくり返していると、指導が入るのです。従って、歯科医が大きく儲けようとすると保険診療ではなく、インプラントやセラミックなどの高額な自由診療を行うしかありません」