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能年玲奈「干されて改名」の全真相 〜国民的アイドルはなぜ消えた?
「ザ芸能界 TVが映さない真実」第4回

誰もが「彼女を見たい」と思っているのに、消えた国民的アイドル。数々の噂や憶測が流れたが、真実はいったいどこにあるのか――所属事務所と能年サイドの双方が本誌に述べる言い分とは。 <取材・文/田崎健太 ノンフィクション作家>

(本稿は『週刊現代』誌上で連載中の<ザ芸能界>の転載記事です。連載第1回「ジャニーズ事務所はなぜSMAPを潰したか」はこちら http://gendai.ismedia.jp/articles/-/49869

「月給5万円」は本当か

NHK朝の連続テレビ小説『あまちゃん』で主演を務め、一躍、日本中の人気を集めた能年玲奈。彼女が表舞台からほとんど姿を消して久しい。

11月12日公開のアニメ映画『この世界の片隅に』に声優として出演しているが、動く能年をテレビで見る機会は皆無だ。

彼女が「干された」背景について口火を切ったのは「週刊文春」('15年5月7・14日号)だった。同誌は〈国民的アイドル女優はなぜ消えたのか? 能年玲奈 本誌直撃に悲痛な叫び「私は仕事がしたい」〉という記事で、能年の露出が激減した理由を、所属事務所との確執にあると報じた。

給料は5万円。『あまちゃん』撮影中、経費精算が追いつかず、持ち金がなくなってしまった。「寮の乾燥機が壊れ、明日のパンツがない」と、当時演技指導を担当していた滝沢充子へ深夜に電話。

滝沢が「コンビニで買えばいい」と言うと、「財布には200円しかない」と能年は答えた、と書いている。能年がこの滝沢に「洗脳」され、独立をそそのかされているという報道もあった。

さらに今年7月、能年は「能年玲奈」から「のん」に改名。「能年玲奈」は本名であるにもかかわらず、所属事務所の許可なしに使用できないという「警告書」が送られていたとも報じられている。

「悪徳芸能事務所」「パンツを買う金もない」「洗脳」「本名を使えない」――。この物語を貫いているのは、芸能界とは魑魅魍魎の人々が跋扈する「げに恐ろしい世界である」という軸だ。

しかし芸能プロダクションもまた、日本という法治国家の中で商行為を営む民間企業である。芸能界だけが、特殊な「小宇宙」として存在しうるはずもない。

人々の気持ちに突き刺さる、あるいは心を逆撫でする分かりやすいストーリーは、時に物事の本質を覆い隠してしまう。

今回、ことの真相を明らかにするべく、能年の所属事務所であった『レプロエンタテインメント』、そして彼女の代理人である星野隆宏弁護士双方に、事実関係を確認し、法的な根拠に基づく取材を行うことにした。

* * *

まずは、「月給5万円」についてレプロの担当者に質した。

 

「これは本当でもあり、嘘でもあります。彼女は『あまちゃん』で活躍する以前の無名の頃から、都内の高級マンションの部屋に住んでいました。この部屋はレプロが寮として使っており、若いタレント4~5人で住んでいて、寮母さんがいて食事を作っている。

生活全ての面倒を見て、レッスン代、交通費などの関連費用も全部こちらで持った上で、さらに小遣いが5万円ということです。能年にはその後、寮から出て一人暮らしができる高級マンションを用意しています」

能年は'93年7月、兵庫県神崎郡神河町で生まれている。中学生時代の'06年に雑誌『nicola』のオーディションでグランプリとなり、レプロと契約。当初は兵庫県から東京まで通っていたが、中学卒業後に上京した。

「中学から高校に入るときが、一つのタイミングなんです。高校の3年間を地方で過ごすと、(女優やタレントとして)終わってしまいます。みんな(それなりに完成するまでに)5~6年はかかる。高校卒業からだと、23~24歳。

そうなると、よほどきちんとした芝居が出来るとか、大人の魅力があるとか、何か武器が必要になる。若さを武器に使うには、高校に上がった段階からレッスンを始めなければならない」