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人民元が急落…中国で高まる「国外資金流出」の危機!

政府は沈静化に必死だが…

10月に入り、人民元の米ドルに対する下落基調が鮮明化している。為替市場でまとまった元売りが出ても、当局の介入は手控えられているようだ。10月初旬からの人民元安のペースを見ると、主要通貨との対比でもその下落ペースはやや急だ。

人民元安の原因の一つに、先行きの中国経済に対する懸念から、国外に資金を移そうとする動きが加速していることがある。中国の民間セクターの債務は、経済成長率を上回るペースで増加してきた。債務に支えられて住宅投資(投機)やインフラ開発が進み、それが経済をサポートしているが、この状況が長期間にわたって持続可能とは思えない。

17日には、ドル建てで取引されている上海B株市場が一時7%程度急落した。人民元安は、徐々に国内の金融市場にも影響を与え始めている。中国経済の自律的な回復期待が抱きづらいなか、当面、人民元は軟調に推移するだろう。それが世界の金融市場にどう影響するか慎重に考えなければならない。

 

当局想定より急下落した人民元

9月末まで中国人民銀行(中央銀行)は積極的な為替介入を行い、ドル/人民元の為替レートを6.66~6.68元台に誘導してきた。

10月1日、人民元が国際通貨基金(IMF)の定める特別引き出し権(SDR:通貨危機などの際、加盟国から外貨を融通してもらう手段)に採用されるのを控え、中国は過度な売り圧力を排して先行き懸念を抑えたかったのだろう。

ところが、10月に入ると一転して為替介入は手控えられている。為替トレーダーらと話をしていると、中国の国有銀行からまとまったドル売り注文が出されてはいるものの、それが実需(貿易に関連する為替取引)なのか、それとも当局の介入指示を受けた売買なのかは定かではない。ドル/人民元のチャートを見ても、介入によって大きく相場が戻されるような動きは表れていない。

足許の金融市場では、12月に米連邦準備理事会(FRB)が1年ぶりの利上げに踏み切る可能性が高いとみられている。ECBは12月の理事会で追加緩和を発表する可能性があり、ドルは主要通貨に対して堅調だ。そのため、ドル高・人民元安が進みやすいのは確かだ。

しかし、それは恐らく、中国の政策当局や多くの為替アナリストらの想定を上回るペースだろう。

一部では、予想を下回った9月の輸出を受けて、「中国政府が自国通貨の減価による輸出振興を企図している」との見方が出始めている。

一方、SDR採用を契機に市場原理に沿って人民元が推移するよう、為替レートの柔軟化を進めているとの見方もある。このように足許の金融市場では、人民元に関するさまざまな見方が混在しているが、どれも“帯に短し襷に長し”という内容だ。

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