サッカー

Jリーグ「2ステージ&チャンピオンシップ制」の目的は果たせたのか

あともう1年待ちたかった

J1は来季から年間勝ち点で順位を競う1シーズン制に戻る。

放映権料による収入増と注目度アップを見込み、ファン、サポーターからも挙がった反対の声を押し切って導入した2ステージ&チャンピオンシップ制はわずか2年で幕を閉じることになる。

筆者は1シーズン制支持派である。だがJリーグ人気向上のために新方式が効果的とあれば、基盤を築くまでの暫定期間として「やむなし」と捉えていた。

ファーストステージ、セカンドステージと2度のヤマ場をつくったことだけが要因ではないが、導入1年目となった2015年シーズンのスタジアム入場者数は544万7602人と、全体で前年より約17万人伸びている。今年は残り2節を残して、昨年の動員数とほぼ同じか少し上回るぐらいになりそうだ。

昨年のチャンピオンシップは地上波のゴールデンタイムでJリーグの公式戦としては2004年以来実に11年ぶりに生放送された。サンフレッチェ広島とガンバ大阪で争った決勝戦は第1戦こそ視聴率7.6%(関東地区、ビデオリサーチ調べ)にとどまったものの、第2戦は2ケタの10.4%(同)に乗せた。新方式初年度にしては、まずまずの数字だろう。

出場条件の分かりにくさなど諸問題はあったにせよ、普段Jリーグを見ないライト層の関心を引き、多少なりとも取り込むことができたとすれば、ひとまずJリーグの狙いは当たったと言える。

そして2年目の今年。ファーストステージ優勝を決めた鹿島アントラーズ、年間順位1位、2位とセカンドステージ優勝を争う浦和レッズと川崎フロンターレの3チームによるチャンピオンシップが決まった。しかし、そのチャンピオンシップが終わらないうちに総括もできないまま、1シーズン制復活が決まってしまったのはいかがなものか。

 

検証のため、あと1年待ちたかった

石の上にも3年という言葉がある。1年目で手応えを得たとしてもわずか2年限りでは、一定の成果があったなどと言えるだろうか。ライト層を取り込み、新規のファンとして定着してもらうに十分な期間だったのか。

Jリーグは来季から英動画配信会社のパフォームと10年、約2100億円の大型契約を結んだ。賞金の増額、外国人選手の登録規定緩和など一気に改革を図るこのタイミングで、本来の1シーズン制に戻したいという思惑も分からなくはない。

だが、多くの反対の声を押し切って導入した2ステージ&チャンピオンシップ制をあっさりと“放棄”するのは、やはり腑に落ちない。納得しないまま新方式をのまされたファン、サポーターたちは、どう思うのか。

将来のためにもしっかりと検証できるいい機会だった。

たとえば3年をひと区切りにするとしよう。全体の観客動員数がさほど上がらず、チャンピオンシップの視聴率も上がらないとする(対戦カードにもよるが)。「1、2年は盛り上がったけど、3年目はダメだった」とか「新規のファンを開拓できたが、コア層に影響が出た」となれば、今後2ステージ制&チャンピオンシップ制に踏み切ることは難しくなるだろう。

しかし逆に3年やってみて観客数も視聴率も手応えを得て終えたならば、短期的なカンフル剤として将来また採用するという判断もある。“行き当たりばったり”ではファンの納得を得られない。今後の指標としても、ファンの納得を得る意味でも「石の上にも3年」が必要だったと筆者は感じている。

2ステージ&CS制の問題点

ただ、2ステージ&チャンピオンシップ制には大きな問題があった。

それは過密日程である。

18チームのJ1は全34試合。そのうえでチャンピオンシップ出場チームはプラス何試合か増えるため、その日程を確保しなければならなくなる。今季は2月27、28日に開幕を迎え、ACLや日本代表のスケジュールなども重なってパンパンとなっていた。昨年、公式戦が60試合にも及び、オフが2週間ほどしかなかったガンバ大阪は優勝候補に推されながらも今年はチャンピオンシップに出場できていない。

その要因の1つに昨季の過密日程も絡んでいた可能性は否定できない。選手たちのいい状態、いいパフォーマンスが試合の面白さにつながり、ひいてはJリーグ人気そのものに直結する。今年、試合数をこなしたチームが来年はどうなのか、ここも検証するポイントではあった。

1シーズン制に戻れば年ごとにスケジュールが変わるといっても、いくらか日程に余裕が生まれるのは確かだ。日本代表のヴァイッド・ハリルホジッチ監督が望んでいるという代表候補の国内強化合宿も、追加できるかもしれない。

しかし中期的な視野に立ってみると、どうだろうか。2022年にはカタールでW杯が開催される。中東のチームは全体的に強化に力を入れており、日本は9月のロシアW杯アジア最終予選の初戦でUAEに敗れている。相手は2カ月にも及ぶ長期合宿をして臨み、周到な準備をして日本に乗り込んできた。現在、グループBはオーストラリア、日本を抑えてサウジアラビアが首位に立っている。

日本のバックアップ体制は十分だと言えるのか中東勢はロシアW杯、カタールW杯に向けて国を挙げて今以上に代表をバックアップすることになる。

つまりは日本が無事、ロシアW杯への切符を勝ち取ったとしても、次のカタールW杯予選も厳しい戦いが待っていることはまず間違いない。日本代表がアジアを勝ち抜けなければ、Jリーグにも影響が及ぶだろう。

いくら海外組が主流とはいえ、国内組の底上げは肝要。中東勢に張り合うためには少なくとも現状より代表活動期間を増やすことも考えていく必要がある。そうなるとJ1のチーム数を減らして「プレミアリーグ化」するというのも一案なのかもしれない。Jリーグの試合の充実という意味でも一考の余地がある。

2ステージ&チャンピオンシップ制を採用すれば、過密日程の問題が出てくるのはある程度、予期できたはずだ。だが、たとえその影響が出たとしても「ライト層に訴えて、新規ファンを1人でも多く獲得する!」というJリーグの強い意気込みと、世間の反響を実感として得られれば、筆者も納得できた。そのチャレンジは残念ながら中途半端な形で終わってしまった。

中長期的な観点に立って、Jリーグの在り方を考える。“行き当たりばったり”では、愛するJリーグに発展はない。