Photo by iStock
現代史
人類史の曲がり角!? 私たちは今、どのような時代を生きているのか
【新連載】たそがれる国家(1)

はじめに

次第に国家が意味を失っていく、いま世界はそんな時代に入りはじめたのではないだろうか。

20世紀終盤にソ連が崩壊したとき、旧ソ連はいくつかの国に分解した。それが何を顕しているのかといえば、旧ソ連が国家としての意味を失っていたということである。だからそれは分解することになった。同じ時期に旧ユーゴスラビアやチェコスロバキアも分解している。それらの国もまた、国家としての意味を失っていた。

このときは社会主義の崩壊として語られていたが、もうひとつ見逃してはいけないことは、国家の虚無化がすすんでいた、それ以前の国家が存在意義を失っていたということである。国家は黄昏化がすすむときがある。

このときの動きは、これからの時代を先取りしていたのかもしれない。イギリスはこれからスコットランド、北アイルランド、ウエールズ、イングランドに分解していくかもしれない。ベルギーもふたつの国になる可能性を秘めているし、カタロニア地方はスペインから独立するかもしれない。そうなればバスクもまた独立をめざすことになるだろう。

スコットランドの「独立」を訴える人びと。2014年〔PHOTO〕gettyimages

この地がイギリスであるメリットがスコットランドにとっては薄れてきたように、これからはいろいろなところで国家の虚無化が意識されていく。中国でも、少なくともチベットやウイグルでは独立が模索されつづけるだろう。

日本をみても、沖縄にとっては日本である利益よりも不利益の方が大きくなっている。日本であるがゆえに国策によって基地を押しつけられる。とすれば独立して基地を撤去し、跡地をこれからの沖縄のために使う方が有利だと感じられける時代がはじまるのかもしれない。

このような動きをへて、世界はどうなっていくのであろうか。

 

* * *

その前にもうひとつ、次のようなことも述べておかなければならない。それは独立という問題だけではなく、すべての人たちにとって国家の有効性が薄れてきていることである。

今日ではあらゆる国で格差が拡大しているといってもよい。しかも先進国ではどこの国でも増税や社会保障水準の引き下げが議論されている。国家は国民にある程度の安定した基盤を提供する機関ではなくなってきた。国民にとっては、国民である有効性が低下してきたのである。

さらに国家もまた、以前と比べれば政策の有効性が失われている。

たとえば現在、日本、アメリカ、EUなどは、かつて例がないほどの金融緩和を継続している。これほどの緩和をすれば、インフレ化するのが普通である。ところがどこの国でもインフレは起こっていない。

そのことは国や中央銀行が、金融のコントロール機能を喪失していることを意味している。そうであるのなら、インフレが発生したときにも国や中央銀行はインフレに対するコントロール機能をもちえない可能性が高い。

多くの人たちが期待しているほどには、国家はその役割を果たせなくなっているのである。とするとこのような意味でも、国家の黄昏化、虚無化がはじまっていることになる。

だがこのような変化が、制度的な国家を弱体化させるとはかぎらない。