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東京五輪、反対してもいいですか?「やめる」を納得させる5つの理由

「なんかイヤだな…」と思うみなさんへ

「東京五輪、なんかイヤだな」と思う人へ

リオデジャネイロ五輪が終わり、「さあ、次は東京だ!」という雰囲気になるかと思ったら、そんなことはまったくなかった……。

9月末に東京都の調査チームが、東京五輪開催の総費用が3兆円を超える可能性を指摘。これを受けて小池百合子都知事は、ボート・カヌー会場など3つの恒久施設の建設見直しに言及した。

10月半ばには、IOC(国際オリンピック委員会)のトーマス・バッハ会長が国際会議出席のために来日。小池都知事と会談し、会場計画の見直しは、都、大会組織委員会、日本政府、そしてIOCの4者による協議で決めると、クギを刺した。

IOCは計画変更を快く思っていないらしく、ボート・カヌー競技が現計画で実施困難な場合には、韓国での開催も検討していると報じられている。

東京五輪をめぐるドタバタは、いったいいつまで続くのだろう? 

大きなトラブルだけを拾っても、まずザハ・ハディドによる新国立競技場の設計案が白紙撤回された。公式エンブレムも「パクリ疑惑」から撤回された。新たにコンペで決まった新国立競技場の設計案は、聖火台の設営を忘れていた。そのうえ、招致活動に裏金が動いたと英紙に報道される始末……。

あまり声高には言わないが、実はこう思っている人も多いかもしれない。

「東京五輪、めんどくさい」「いっそのこと、やめちゃえば?」

〔PHOTO〕gettyimages

事実、リオ五輪の閉幕直後に共同通信社が行った意識調査では、「東京五輪がとても楽しみ」「どちらかというと楽しみ」が合わせて63.4%だった。

言い方によっては「東京五輪『楽しみ』が全体の3分の2に迫る」ということになるのだが、裏を返せば3分の1もの人が「別に……」と思っているわけだ。

日本選手が史上最多のメダルを獲得して、盛り上がったはずのリオ五輪の直後の調査にしては、意外な数字と言えないだろうか。

「いっそのこと、やめちゃえば?」と言ってみたい人は、けっこういるのだろう。けれども、そのうち多くの人が心の中で思っている。「今さら言っても、変わるわけじゃないし」「自分が反対したとしても、どうせやるんだし」――。

確かにそのとおり。しかし五輪反対のデモに参加まではしなくても、このメガ・イベントを少し斜めから眺めるだけで、ものごとがいろいろ違って見えてくる。

今さらだが、東京五輪に反対という身振りをとってみるのもいい。反対してもいい理由を、とりあえず5つあげてみた。

1. そもそも、大ウソから始まっている

東京五輪の招致は、大変なウソをスタート地点にしている。

2013年9月7日、2020年大会の開催地を決めるブエノスアイレスでのIOC総会で、安倍晋三首相がプレゼンテーションを行い、こう述べたのだ。

「フクシマについて、お案じの向きには、私から保証をいたします。状況は、統御されています。東京には、いかなる悪影響にしろ、これまで及ぼしたことはなく、今後とも、及ぼすことはありません」(首相官邸ホームページの翻訳より)

〔PHOTO〕gettyimages

当時は、東日本大震災からまだ2年。フクシマについて「お案じの向き」は、もちろん国内にも数えきれないほどいた。その多くの人にとって、「統御されています(under control)」という首相の言葉は驚き以外の何ものでもなかった。

放射性物質による住民と地域への影響は、まだいっこうにはっきりしていない。家を失い、避難生活を送る人々は今も14万人を超え、こちらも「アンダー・コントロール」には程遠い。

そもそも、フクシマについて懸念を持つ人々は、マドリード、イスタンブールを相手にした招致合戦で、東京が勝つとはあまり予想していなかった。

原発事故の生々しい現場からわずか200キロあまりの位置にある日本の首都に、世界中からアスリートと観客を集めることは、まだまだ非現実的に感じられた。

そこへイスタンブールで、騒乱が起こった。まさに2020年五輪の招致をめざすための大規模再開発計画の一環として、人気の観光スポットであるタクシム広場に近い緑地をつぶすプロジェクトが始まろうとしていた。

この計画に反対すべく立ち上がった市民は、最初はわずか4人。だが賛同者は徐々に増え、やがて数千数万人規模に膨れ上がって、全国規模の反政府運動となった。政権側は機動隊を出動させるなど強硬な対応を示し、数千人の負傷者が出た。

5月に始まった騒乱がようやく落ち着いたのは8月末、IOC総会の直前だった。東京にとって招致合戦の最大のライバルとみられたイスタンブールの情勢を見て、安倍首相はわざわざ自分のプレゼンテーションを「世界有数の安全な都市、東京」というフレーズから始めた。次に出てきたのが「フクシマはアンダー・コントロール」という表現だった。

2020年東京五輪の始まりは、そんな大ウソだった。ただし、確信犯である可能性は高い。首相が口にした「アンダー・コントロール」という言葉は福島第一原発の惨事を指すのではなく、このくらいのホラを吹いても、日本の世論は完全に「コントロール」できるという意味だったのかもしれない。