金融・投資・マーケット
米国が「長期停滞」から本気で脱却を目指すなら、次の一手はコレ
「利上げ」よりも「再金融緩和」か

米国景気はピークに近い

「12月までに少なくとも1回の利上げが実施され、年末のFFレートは現行の0.35%程度から0.60%程度になる可能性が高い」

これが現時点での市場関係者のコンセンサスとなっている。また、直近のFRBの経済見通しでは、長期的なFFレートの平均水準は2.9%で、利上げは2019年まで続く見通しになっている。

そのFRBの経済見通しだが、FFレートの引き上げは米国経済にほとんど影響を与えないというシナリオになっている。例えば、実質GDP成長率の見通しは、2017年、2018年ともに前年比+2.0%である。そして、完全失業率の見通しはそれぞれ、4.6%、4.5%となっている。

ちなみに、このFRBのシナリオでは、2018年末のFFレートの見通しが1.9%となっている。この見通しどおりに利上げが進めば、2年後にはFFレートは現状から1.5%強上昇することになる。1.5%の金利上昇がマクロ経済に何らマイナスの影響を与えないというFRBのシナリオはいささか楽観的すぎる感がある。

したがって、筆者は、現状の米国のマクロ経済の現況を考えると、予想外に「再金融緩和」が実施されるリスクがあると考える。

その理由は、景気の持続的な上昇は「微妙な」ところに差し掛かっていると思われるためである。最近の米国経済指標はピークアウトの兆候を示しているものが多い。

 

例えば、9月の新車販売台数は前年比-0.5%で、8月の同-4.1%に続き、2ヵ月連続の前年割れとなった。また、8月時点の住宅関連指標は、先行指標である着工許可件数が2ヵ月連続の減少だったほか、これまで堅調であった中古住宅販売件数も2ヵ月連続で減少するなど、徐々にピークアウトの兆候が出始めている。

リーマンショック後の米国経済を牽引してきたのは、自動車販売を中心とする消費と住宅投資であった。だが、その両者は、ローンを利用することが多く、金利に敏感な側面がある。また、自動車や住宅は消費者にとっては、一種の固定資産投資に近いものであり、これまでの超低金利によって需要が先食いされている可能性も否定できない。

以上より、現時点で米国景気はピークに近い状況にあり、「循環」的には、今後、減速していく可能性も否定できないのではないかと考える。したがって、利上げも、仮に12月に実施した場合、それで一旦は終わりになる可能性もあると考えている。

FRBの見通し通りに、FRBが「正常水準」と考えるFFレート2.9%までの利上げは難しいのではなかろうか。そのため、今後、特に来年以降の米国経済を考える上で注意すべき点は、むしろ、FRBの再金融緩和のタイミングではないかと考える。

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